不眠・睡眠障害・途中覚醒【芦屋・西宮 鍼灸香春】

不眠・睡眠障害・途中覚醒

 

 

東洋医学の不眠・睡眠障害・途中覚醒チェックシート

 不眠症を測る際にまず考える、大まかな分類です。目安にしてみてください。

 不眠の基本原理は、熱が頭に上ってしまい、脳が覚醒して眠れない、という状態です。

 この最初の熱が、どのようにして発生しているのかが分類、施術の根幹になります。

夢をよく見る

❑ 小さな物音で起きる

❑ 神経質

❑ 考え事が多い

❑ イライラする

❑ こむら返りが頻発する

寝つきが悪い

❑ 胃腸が弱い

❑ お腹がちゃぷちゃぷ

❑ 痰や浮腫が頻発する

❑ 歯磨き中に吐き気

❑ めまいがする

夜に眼が覚める

❑ 寝汗をかく

❑ 動悸や不安感がある

❑ 便秘する

❑ のぼせや肩こりがある

❑ のどが渇いて冷飲する

疲労心労の不眠

❑ 疲れやすい

❑ 些細なことで悩む

❑ 貧血気味

❑ お腹が鳴って下痢する

❑ 昼にウトウトする

夢をよく見る

 東洋医学的には「肝虚」と呼ばれます。肝は血を主るので「血虚」の側面も

あります。肝はおよそ、交感神経系の働きや忍耐心などをコントロールして

いると考えられますが、それらの機能が低下している状態です。そのため、

イライラしやすく、神経質になりやすい傾向があります。

 肝や血が虚した際の虚熱は、肝のパートナーの胆に移動し、その経絡の胆経を

上り、頭部へ到達して不眠頭痛などを発症させます。

【漢方薬】

甘麦大棗湯、加味逍遥散、抑肝散、柴胡加竜骨牡蠣湯

寝つきが悪い

 東洋医学的には「脾虚」に分類されます。脾虚は消化器系の不調を意味

します。胃腸が冷えていることが多く、消化や排泄に乱れがよく見られます。

 東洋医学でいう消化のメカニズムは、心の炎が腎の熱となり、その腎の熱で

胃に溜まった飲食物でシチューを作る感じです。そのため、脾胃のみならず

心(シン)にもトラブルがあります。心のパートナーの小腸経から熱が上り、

不眠メマイの原因となります。

【漢方薬】

温胆湯、甘草瀉心湯、半夏白朮天麻湯、加味帰脾湯

夜に目が覚める

 寝入りは問題なく、しかし夜に目覚めて、そのあと眠れないという方です。

 胃や肺、心(シン)に熱がこもってしまっている状態で、その熱のために

不眠になっています。東洋医学的には「内熱」と呼ばれます。

 東洋医学では夜になると陽気(熱)は自然と体内に収まるので、眠ることが

できます。しかし病的に陽気が増えると、夜になっても収まりきらずに騒ぎ

立てるため、夜中に目が覚めてしまいます。

【漢方薬】

三黄瀉心湯、黄連解毒湯、大柴胡湯、防風通聖散、通導散

疲労心労の不眠

 疲れているのに、却って眠れないということがあると思います。

 疲労や痛みによって交感神経は興奮しますが、普通はどこかで副交感神経が

優位になって眠ることができます。しかし自律神経が上手く機能していない

と興奮状態が続いて眠れなくなります。一種の虚熱ですが「胃腸虚弱」や

血虚」などのベースを持っていることがよく見られます。そのために自律神経

が上手く機能していないものと思われます。

【漢方薬】

酸棗仁湯、帰脾湯、加味帰脾湯、加味温胆湯

不眠・睡眠障害・途中覚醒の分類

 一般に睡眠にまつわるトラブル全般を不眠症とか、睡眠障害などと呼びます。

  • 【①.入眠障害】寝つきが悪く、いわゆる“眠れない”状態
  • 【②.途中覚醒】せっかく眠れてもすぐに目が覚めてしまう状態
  • 【③.早朝覚醒】朝早く目が覚めてしまう
  • 【④.熟眠感の欠如】寝た感じ、睡眠の満足感が得られないという状態

 以上のように分類できますが、複合して発症する場合もありますし、私の経験上では①②③の症状で

来院されて、これらがよくなってくると④の症状に移行するという場合もよく見られます。

 また、夜に眠れないために仕事中に眠いという方もおられますし、昼間も眠気は感じられないという

方もおられます。加えてよくあるのが、不眠状態が改善しているのに、再発するのではないかという

恐怖で、落ち着かないという症状を併発したりすることが多々あります。

 ただ、身体の状態にあった、正しい施術を受けることができれば、①から④のどの状態であっても

不眠症は改善が可能です。

不眠・睡眠障害の原因

 西洋医学的な原因として考えられているのは、以下のようなものです。

①.メンタル的原因

  ストレスです。仕事や生活、人間関係などにまつわる不安恐怖などが原因になっているケースです。

  鬱病などの精神不良も原因になることがあります。

②.身体的原因

  体調不良慢性的な痛みアトピーなどによる断続的な痒み、花粉症などのアレルギー疾患による、

  恒常的な刺激によるもの。

③.生活習慣が原因であるもの

  飲酒、喫煙、コーヒーなどの嗜好品によるものです。アルコールやニコチン、カフェインによる

  利尿作用、覚醒作用によって途中覚醒、浅眠、不眠になります。

 

④.視覚刺激によるもの

  スマホやパソコンのディスプレイから発せられるブルーライトが脳に過剰な刺激を与えることで、

  脳を覚醒させてしまうことによるもの。

不眠・睡眠障害の鍼灸治療

 原因の4分類を元に、当院で行っている鍼灸施術についてご紹介します。

①.メンタル的原因

  仕事や人間関係の問題自体は、鍼灸漢方では当然解決できません。

  しかしその結果生まれてくるイライラや不安には対処可能ですし、あなたを悩ませる漠然とした

 恐れ、理由のない焦りなどは鍼灸と漢方が有効です。精神の乱れの多くは漢方医学では心(シン)や

 心包(シンポウ)のトラブルとして捉えています。その心や心包の調子がおかしくなってしまう

 本質的原因は、暑い季節に受けた熱の処理を失敗したことが考えられます。このような場合には

 『少衝』『少府』『少海』、または『中衝』『労宮』『曲沢』『郄門』などを用います。

  同時に「心経」のパートナーである「腎経」も候補に挙がります。「腎」は陰気の代表選手で、

 陽気の代表の「心」とは密接に繋がっています。この繋がりを「少陰経(ショウインケイ)」といいます。

 そして腎の働きが悪くなると虚熱という廃熱のようなものが、少陰経を伝って上半身に上ります。

 この虚熱が胸に籠ると不安や焦り、恐怖感、動悸の原因になって、不眠も誘発されるのです。

  こうなると背中の、特に心臓の裏あたりが熱を持っていることがあります。それを鍼やお灸で

 取り除くと胸がすっとした感じになって心に落ち着きを取り戻せます。

②.身体的原因

  アトピーなどがあると当然その痒みで睡眠が悪くなりますし、胃腸が悪いとお腹がしくしくと痛んで

  眠りにくいでしょう。お腹や足元が冷える人は、いわゆる“冷えのぼせ”を起こしやすく、不眠を誘発

  します。つまり単純に眠れないのではなく、なんらかの身体的原因があるわけです。これらには

  それぞれ相応の施術をすることになります。

③.生活習慣によるもの

  これは簡単なんですが、すごく難しいです。

  単純に喫煙や飲酒の習慣をやめればいいんですが…まず無理です。

  喫煙している場合は肺の炎症になって、その熱が不眠を誘発していることがあるので、『魚際

  『尺沢』などを『中府』『肺兪』と組み合わせて使います。ニコチン自体の処理は鍼では難しいので、

  その悪影響を改善することを主眼に施術します。

  アルコールはその分解と利尿作用を促進し、カフェインなら交感神経の興奮を抑えて副交感神経を

  優位に導くように施術しています。ただ、やはり生活習慣を改善することが望ましいです。

④.視覚刺激

  スマホやパソコンのディスプレイの光は脳を覚醒させる作用があるため、不眠を誘発します。

  現代病ですね。この光をカットする眼鏡などもあるので、ぜひ活用しましょう。

  施術としては副交感神経を優位にするわけですが、それ以外にも日常生活で、趣味のスマホや

  パソコンの夜間利用は控えていただくようお願いしています。

  正直、このパターンは必ずマシになるんですが、完治は難しいケースです。

 あとは不眠ではなく過眠ですが、ナルコレプシーという病気があります。

 オレキシンという、覚醒を維持する物質が分泌されなくなることで起こる、急な眠気に襲われるという

病です。以前に勤めていた神戸の鍼灸院で2例経験しましたが、ほぼ改善できませんでした。すみません。

西洋医学的に考えると、鍼灸としては手詰まりになるので、東洋医学的に捕らえてみるんですが、

そうすると陽気の不足と考えられるので胆経や膀胱経ともいえますが…。

脳の視床下部とその受容体のトラブルなので、脳そのものは奇恒ですが、髄とすれば腎が関与します。

やはり患者の方の身体を見ることでしか、判断はつきかねます。課題です。

不眠・睡眠障害の漢方薬

 よく夢を見て、眠りが浅く、不安感がある。興奮し、あくびが多いなら『甘麦大棗湯』。胃腸も弱く

疲れやすいという人が多いです。

 『加味逍遙散』は更年期障害にもよく使われます。情緒が不安定で、訴えが多い傾向にあります。

虚弱な感じの女性に多いです。

 神経過敏タイプで、興奮しやすく、イライラ、癇癪持ちな人の不眠には『抑肝散』を使います。併せて

胃腸も悪いなら『抑肝散加陳皮半夏』にします。お腹に動悸があることが多いです。

 体格がよく、便秘気味で、驚きやすく、肩こりがあるというタイプなら『柴胡加竜骨牡蠣湯』ですが、

体格は平均以下で便秘がなく、足が冷えてのぼせるなら『桂枝加竜骨牡蛎湯』がよいです。不安感を

抱えているケースをよく見かけます。

 ストレスを溜めて、怒りっぽい方の不眠です。眠りが浅く、夢を見てすぐに目が覚めます。口が苦く

舌が黄色くなっています。たいていは飲食や飲酒に不摂生があります。『竜胆瀉肝湯』がよいでしょう。

 『温胆湯』は体力が低下し、顔色が白い方に使います。お腹には緊張感がなく、ちゃぷちゃぷと水の

がします。胃下垂などの基礎疾患がある場合などにも使います。

 メニエルにも使いますが、胃腸が弱く、めまいがあり、食後に眠くなるわりに夜は眠れないという方には

半夏白朮天麻湯』がお勧めです。お腹の調子がよくなるにつれて、不眠もめまいも解消してゆきます。

 胃腸が弱くて食欲なく虚弱タイプ。思い悩むことも多くて心労が重なる。少々貧血気味で、物忘れや

動悸もあるというなら『加味帰脾湯』。

 胃腸虚弱お腹がゴロゴロ鳴って下痢し、食欲も捗りません。頭が重く、不安感や焦燥感、嘔吐感もあり

ます。このような方は『甘草瀉心湯』です。しつこく口内炎が出来たりします。長期の服用はお勧めしません。

 体力は人並み以上で高血圧気味、顔がのぼせて熱く、興奮気味で少しイライラします。便秘動悸

耳鳴りがあるなら『三黄瀉心湯』。

 『三黄瀉心湯』に似てイライラ、逆上せがあって口が苦く感じますが、体力は人並み以下、便秘もしない

という場合は『黄連解毒湯』。非常に苦いですが、体質が当たっている人は意外とすいすい飲めます。

 体格がよく体力もある方で、便秘肩こりもある。肋骨の下あたりが硬く緊張し、圧迫すると痛みや不快感が

強い(「胸脇苦満(キョウキョウクマン)」といいます)。舌に黄色い苔がついていることが多い。『大柴胡湯』。

 『防風通聖散』は『大柴胡湯』と似ていますが、胸脇苦満がありません。お腹が空気を満タンに入れた時の

サッカーボールのように固く張っている。重役タイプの方に多いです。

 精神的に疲れ果てた感じで、疲れているのに眠れないという人には『酸棗仁湯』です。虚熱症状があるため、

口が乾いたり、皮膚がカサついたりします。昼は逆にウトウトしたり、過眠する場合にも使えます。

 『帰脾湯』が適応する方は、ごく些細なことを気にして疲れてしまい、おどおどした感じがあります。

貧血気味で、少々鬱傾向があります。エネルギーが作れていない状態で、物忘れしやすく、顔色がさえません。

 主な所をざっと紹介しましたが、他にも風邪を引いた後の不眠で、疲労して胸がざわざわし、よく夢を見る、

食欲不振、咳や痰が絡むという感じなら『竹筎温胆湯』がよく、口が乾いて水を飲むが、小便は少ないという

人の不眠なら『五苓散』がよいことがあります。

清心蓮子飲』『通導散』『補中益気湯』なども場合に応じて使われます。

              芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

 

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