補中益気湯【西宮・芦屋 鍼灸香春】
補中益気湯
黄耆・人参・白朮4、当帰・大棗3、柴胡・陳皮2
甘草1.5、生姜・升麻1
本方は一言でいうと「血の不足によって胃腸機能が停滞」している場合によく用います。正確には
「血(ケツ)の不足に伴う精神、人体組織の緊張低下による胃腸機能の不全」というべきでしょう。
この状態にある人は、血虚による虚熱があるため、わずかに熱が籠っています。血のエネルギーも
少ないため(肝虚)、肝のパートナーである胆が機能していません。胆は少陽経に属し、同じ少陽経の
三焦とは家族のような繋がりがあります。つまり、胆がエネルギーを受けれないことによって少陽経や
三焦経とその支配部位も機能不全を引き起こします。三焦は腹膜などの結合組織を支配していますから、
その緊張を失うと内臓を正しい位置に保持できず、胃下垂や脱肛、子宮脱のような内臓下垂の原因に
なります。もちろん血によるエネルギー供給自体が滞ってるので、胃腸機能そのものも失調しますし、
関節や筋肉の力も発揮できないので手足がだるく感じます。また胆は人体のやる気スイッチのような
ものなので、エネルギーを受け取れないと精神的な無力状態に陥ります。
こうしてみると『四・六君子湯』は原因が脾胃の不調に限局されているのに対し、『補中益気湯』は
血虚がベースにあるため、肝虚という別要因がきっかけになっているといえます。
こういった症状に対して本方は「当帰」「大棗」で血を増やして「白朮」で巡らせ、「柴胡」「升麻」
が気を巡らせ、「人参」「黄耆」「陳皮」「生姜」で胃腸を鼓舞し、「甘草」は腎の虚を補って回復を
目指します。
補中益気湯の適用
『補中益気湯』は「『小柴胡湯』の虚候に用いる」といわれますが、これでは難しいので明治時代の
漢方の大家・浅田宗伯先生の解説を紹介します。
「補中だの、益気だの、升提だのと言葉にこだわらず、①手足倦怠、②語言軽微、③眼勢無力、
④口中生白沫、⑤失食味、⑥好熱物、⑦臍動悸、⑧脉散大無力の八症のうち1~2症あれば用いてよい」
簡明ですね。
(『漢方後世要方解説(矢数道明)』『漢方医学体系(龍野一雄)』『大塚敬節著作集』
『漢方常用処方解説(高山宏世)』『漢方主治症総覧(池田政一)』より)
芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】
“補中益気湯【西宮・芦屋 鍼灸香春】” に対して16件のコメントがあります。