『尺沢(しゃくたく)』【西宮・芦屋 鍼灸香春】
【肺経合穴。肘前部、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱の外方の陥凹部】
いわゆる力瘤のことを上腕二頭筋といいますが、この筋肉の山は肘を過ぎるあたりまで続いています。
本穴の『尺沢』は肘のシワとこの上腕二頭筋が交わる所の外側に取穴します。位置的には動脈の上に
あたるので、拍動を感じることができる所が本穴の場所になります。
ご自身でケアされる場合にはマッサージをしてもよいのですが、肺経のツボは浅い位置にあり、肺が
皮膚と関係が強いこともあって敏感な性質があります。せんねん灸のようなお灸やカイロ、乾布摩擦で
温めてあげるだけでも効果があります。
東洋医学的には肺は腎と協力して、身体内の水分の分配や移動、循環などに関与します。これは胸郭や
横隔膜が十分に伸縮することで血液が全身へ循環しやすくなるということと同義です。五行的にいうと
木⇒火⇒土⇒金⇒水で、肺は金、腎は水ですから、金⇒水の関係になります。金が水を生むということで
相生関係といいます。浮腫みや乾燥などの水分トラブルには肺と腎が大いに関与するということです。
『尺沢』は肺経の合水穴ですから、肺の作用を持ちつつ腎水の影響を大いに受けるツボです。このような
水分代謝トラブルには大いに有効であるといえます。
【主治・効能】
・呼吸器病。肺労・肺出血・肺気腫・気管支炎・肋膜炎の発熱・咳嗽。呼吸困難、憂鬱、再帰熱、間歇熱
ヒステリー、顔面蒼白、欠気止まず、頻尿、尿色異常、四肢運動筋麻痺、上腕挙上不能
肩背~前腕の痙攣、小児慢性搐愵。脳溢血に瀉血
・呼吸器疾患(特に咳)。扁桃炎、ヒステリー、ノイローゼ、顔面蒼白、脳溢血(瀉血)、肩背部疼痛
・咳、扁桃腺炎、腕の痛み、発熱
・胸脇脹満、咳嗽、哮喘、咳血、鼻出血、咽喉腫痛、腹痛、嘔吐、下痢、小児ひきつけ
上肢不随、腕肘痙攣痛
・舌咽乾濇、筋無力、臂攣喉痺、津液失調、四肢痙攣、静脈充血などを治する
(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』
『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』
『鍼灸経穴名の解説(高式国)』)
芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】
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