五十肩・肩関節周囲炎・肩の痛み【芦屋・西宮 鍼灸香春】
五十肩・肩関節周囲炎・肩の痛み
東洋医学の五十肩・肩の痛みチェックシート
鍼灸も漢方も、患者の方の体質を把握した上で施術方針を定めます。
ただ、五十肩のような運動器系疾患の場合、その動きから直接経絡を用いた施術をすることも大いに有効です。
冷え五十肩タイプ
❑ 突発的に発症した
❑ 冷えると悪化する
❑ 冷え症、寒気がある
❑ 体格がよくない
❑ 鼻水やくしゃみがある
虚弱五十肩タイプ
❑ 肩が重だるい
❑ 体格がよくない
❑ 食欲不振、不眠がある
❑ めまい、眼精疲労がある
❑ 肩こりではない
湿気五十肩タイプ
❑ 慢性的で、動きが悪い
❑ 湿気や冷えで悪化する
❑ 暖めると楽になる
❑ 食欲がなく、下痢する
❑ めまい、胃のムカつきがある
瘀血五十肩タイプ
❑ 夜に悪化する
❑ イライラし、ノドが痞える
❑ 精神的に不安定
❑ シミやアザができる
❑ 手足が冷えて逆上せる
五十肩・肩関節周囲炎・肩の痛み
西洋医学的には肩関節周囲炎、東洋医学的には凍肩(トウケン)、痃癖(ゲンペキ)などと呼ばれます。
簡単にいうと、肩周囲の筋肉や関節包に炎症が起こって肩を動かすと痛い、動かせないという状態です。
パソコン仕事をしていると肩が重だるい、夜に寝ているとズキズキ痛む、腕を挙げれないためベルトを
を通せない、着替えがしにくいなどの悩みを誘発します。
五十肩は鍼灸が得意とする疾患なので、ここはぜひ一度鍼灸院に行ってみていただきたいです。
五十肩・肩関周囲炎の治療
すべての疾患にいえることですが、五十肩も①「問題の発生している部位のトラブル」、
②「その問題を誘発する解剖学的原因」、③「問題を発生させている体質的遠因」の3つに対する
アプローチが基本になります。
①は実際に痛んでいる二頭筋や肩の腱板の炎症と石灰化、②は炎症を引き起こす要因である姿勢不良や
巻き肩、身体のねじれをいいます。③は東洋医学的解釈で、上のチェックシートでも示したように
「冷えと熱の籠り」「虚弱」「湿気」「瘀血」に分類され、それぞれに対応する漢方やツボがあります。
五十肩・肩関節周囲炎の西洋医学的原因
これは①の「問題の発生している部位のトラブル」に該当します。
単純に関節部の骨膜、筋腱・靭帯、関節包などに炎症が起きて
いるのは、使い過ぎや老化+巻き肩などの姿勢不良で過剰な負荷が
かかっていることが【炎症性五十肩】の原因です。
また別のタイプには筋肉が石灰化して固まってしまい、物理的に
動かせなくなる【石灰化性五十肩】というものもあります。石灰化
の原因は正しくは不明ですが、繰り返される炎症と食事、血中成分
などと関係すると思われます。
炎症や石灰化といった五十肩の直接的原因には、実は巻き肩や猫背といった姿勢不良が大きく関与します。これらの姿勢不良には胸部の
大・小胸筋などと背部の肩甲挙筋や肩甲下筋、僧帽筋、広背筋などが関与します。それ以外にも上腕二頭筋や円回内筋、胸郭の伸縮不足も
関係があります。これらが②の「問題を誘発する解剖学的原因」となって五十肩を形成してゆきます。関与する腕や首、身体の前面、後面の
筋肉が引っ張り合った結果が五十肩というわけです。
加えて当院では身体の「ねじれ」にも注目しています。人間は前後や左右のバランスが狂うというだけではなく、頚、腕、腰、足などの
部位が回旋してねじれを生じます。このねじれによってもさまざまな姿勢不良が発生します。
例えば、両手のひらを前へ向けて気を付けの姿勢を取ります。まずこの状態で首を左右に回してみます。
次に右手だけ手を返し、手の甲を前へ向けます。その状態でまた首を左右に回します。左は変わらないと
思いますが、右は少し回しにくくなっていると思います。これは別に不思議なことではなく、単に右の肩が
内側に入ってしまうため、物理的な理由で首が右に回らなくなっているだけです。
しかし、こうした「ねじれ」が積み重なることで身体の前後左右のバランスが崩れ、或いは巻き肩を、
また或いは猫背を、はたまたO脚を誘発します。これが五十肩の本質的原因ではないかと考えています。
だからこそ直接的な原因となっている肩や胸、背中を緩めるだけでなく、腰や腕、場合によっては足首
の状態から伺って施術をさせていただくことになります。
五十肩・肩関節周囲炎の鍼灸治療①
当鍼灸院での五十肩改善例を紹介します。
西宮市在住の方で、肩こり歴5~6年、すでに慢性化が始まっていました。ただ、痛みはあっても
水平位以上には挙上可能であったため、炎症処置を主とした鍼灸施術1回で可動域をほぼ180度に改善
できました。
【参考動画はこちら】
今回の方の場合はまず季節の悪影響を処理してから虚熱の処置をし、肩部へ3本の炎症処置のための
鍼を打ち、前腕部が内側にねじれ、頚が左回旋していたので、肘と手首、『天柱』『大杼』への処置を
しました。鍼灸治療が初めての方だったので、できるだけ鍼の数は少なく、強い鍼も避けて、まずは
可動域の拡大を目的に、効果を実感していただけるよう施術しました。他にも膝の屈伸が不自由で痛む
とのことだったので、本質的な原因はこのあたりではないかと予想しています。
結果としては大いに改善したとはいえると思いますが、これで治療が完結したわけではありません。
炎症を治めたのでストレスなく肩を動かせるというだけで、虚熱を発生させる体質的弱点は克服できて
いませんし、この弱点を放置しておくと、いずれまた元に戻ってしまいます。
五十肩・肩関節周囲炎の鍼灸治療②
肩や腕への施術以外では体幹への施術が意外と重要です。
猫背などの姿勢不良の治療でもそうなんですが、胸郭の伸縮が腕の動きに大きく関与
します。実際に手を目一杯上げてみると感じていただけると思いますが、手を挙上する
時は脇も連動して伸びます。そうして腕の動きをスムーズにするのですが、逆にこの肋骨
の間にある筋肉(肋間筋)が固まってしまうと、胸郭の伸縮性が失われて、手の動きに
連携できなくなってしまいます。肩を動かすだけでも余計な力がかかってしまうため、
肩部や胸脇部の炎症を引き起こします。
この胸脇部は東洋医学的でいう少陽経(ショウヨウケイ)の支配する部分ですが、ここを
緩めると肩が圧倒的に楽になります。その意味では肩こり・首こりによく効きます。
左の図でいう『淵腋(エンエキ)』『輒筋(チョウキン)』『大包(ダイホウ)』に浅く刺鍼
します。他に『中府』や前胸部の肋間にも、やはりごく浅く置鍼します。あと先日、
徳島の大上勝行先生に教えていただいたんですが、『章門』のお灸がよく効きます。
胸郭が弛むので首肩が楽になりますし、猫背や浅呼吸の改善にもつながります。
鍼灸の五十肩・肩の痛みチェックシート
以下の3分類は、“気を付け”の姿勢から前、横への挙上と背中へ手を回す挙動の分類です。
直接的原因になっている筋肉や経絡を選定して各ツボを用います。
五十肩・肩関節周囲炎・肩の痛みの自宅ケア
『首こり・肩こり』のページに追記しました。そちらをご覧ください。
五十肩・肩関節周囲炎のその後
五十肩には【炎症性】【石灰化性】の2つのパターンがあります。
①.筋肉や腱、関節包などに炎症が発生しているケース
この場合は痛みはあっても動かせます。施術効果も高く、改善率も良好です。
②.筋腱が固まってしまっている、石灰化ケース
筋肉が固まっているため、物理的に動かすことができません。手ごわい疾患です。
どちらにも鍼灸治療は有効ですが、
①なら週1~2回ペースで、1か月くらいで目途が立ちます。
②の場合は時間が掛かります。鍼灸に漢方指導、生活改善を前提に施術をしています。
当院では、肩の運動については可動域の改善を行ってから、無理のない範囲でお勧めしています。
早く治そうと痛みを我慢して頑張ってしまうと、炎症を悪化させてしまうからです。炎症さえ収まれば
運動した方が改善率も高くなりますし、再発防止にもつながります。
五十肩はお困りの方も多く、そのニーズに応じて様々なエクササイズや治療法があります。
YouTubeなどを参考になさるのもよいかと思いますが、ストレッチやマッサージで改善しない場合や
いっそ手術をしようとお考えなら、その前にお近くに鍼灸院をお訪ねください。
芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】
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