『中衝(ちゅうしょう)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】

【心包経井穴。中指先端中央に取穴する】

 ここからは「心包経(シンポウケイ)」のツボ解説になります。

 まず、以前に紹介した「心経」に似た名前ですが、何が違うのかがよく問題にされます。

物質的には「心(シン)」は心臓のことを指し、「心包」は心膜を意味するといわれています。

 また、機能としては心臓の働きを分担する関係にあります。簡単にいうと、命令するのが心、その命令を

実行するのが心包となります。

 東洋医学的にいうと、心は君主、つまり王様ですから、たとえなにか問題があったとしても恐れ多いため、

施術の対象にはしません。代わりにその使用人である心包にアプローチして、心臓の働きを助けたり、抑制

したりするのです。とはいえ、実際には心経も施術対象になることがあります。

 本穴の『中衝』はその心包経の“井穴(セイケツ)”にあたります。井穴は基本的に四肢の指先に位置しますが、

本穴は中指の先端に取る場合と、左の図のように中指の爪の付け根で、親指側に取る場合があります。

両方経絡ルート上にあるので、どちらで取穴してもよいのですが、当院では井穴を刺絡にて瀉血することも

ありますので、その関係上後者のパターンで取穴しています。腎経の井穴『湧泉』も同じような感じです。

 特に本穴は瀉血の効果が大きいので、井穴刺絡という方法をよく用います。

 

 【井穴刺絡について】

 左の図は井穴刺絡を施術している写真ですが、このように少量出血させて、20滴ほど絞り出します。

井穴は血流、血圧を抑える作用が強いため、脳出血の際の応急処置に使えます。治るというわけではない

ですが、血圧を抑制して後遺症のリスクを抑える目的で使います。特に中衝は高熱半身不随

舌の強張り意識障害に効くとされますので、血圧抑制作用が強いと考えられます。

 当院でも高血圧や暑気あたりの方に使うことがあります。

 本穴を夏バテのセルフケアとして使う場合は、少し痛い程度に5秒圧迫を5セットやってみてください。

 高血圧や動悸、熱病に使う場合は、まずは病院で基本的な検査を受けることをお勧めしています。

そのあとのリハビリやケアに鍼灸院を利用するのがベストです。

その点で井穴刺絡は大いに役立ってくれます。

 

【主治・効能】

・心窩部痛、心煩、発熱無汗、中風、中暑、昏迷、暈厥、ショック、嘔吐+下痢、癲癇

 ヒステリー、ヒキツケ

・身熱、煩渇、舌強、耳鳴、強度頭痛、強度高熱、心痛、煩満、熱血攻心、掌熱、心煩悶

 舌腫痛、痰涎壅盛、牙関緊閉、暴倒

熱病の発汗、心臓病、脳充血、蓄膿、鼻腔閉塞、顔面浮腫、精神神経症、掌中熱、書痙

 正中神経痛、半身不随、舌強張り

熱病の発汗、心内膜炎・外膜炎、脳充血、顔面浮腫、掌中熱、舌強ばり

・中風昏迷、暑気あたり熱病

(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『鍼灸経穴名の解説(高式国)』

 『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』

 『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』)

芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

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