坐骨神経痛(座骨神経痛)【西宮・芦屋 鍼灸香春】

座骨神経痛

坐骨神経症(座骨神経痛)について

 腰~臀部~太ももや下肢に電気が走ったような痛みや痺れを感じる疾患です。

 坐骨神経という腰から足の後面を走行する神経が圧迫されることによるもので、その根本的

原因は多岐に渡ります。主要な所では脊柱管狭窄症、腰椎ヘルニア、梨状筋症候群などですが、

どれが原因であっても症状に差異はあまり見られません。しかし、治療難易度には随分開きが

あるため、患者の方から「治りますか?」と聞かれて一番返答に困る疾患でもあります。

 ただ脊柱管狭窄症があると診断された場合でも、意外と狭窄症が原因ではないという場合が

散見されます。この辺りは実際に診てみないと分からないところです。

坐骨神経痛(座骨神経痛)の原因

 私の経験上ですが、原因は大体以下のようなパターンに分類できます。

  • 脊柱管狭窄症、すべり症
  • 腰椎ヘルニア
  • 骨粗鬆症、腰椎圧迫骨折
  • 癌、動脈瘤
  • 梨状筋症候群
  • 臀部筋肉の弱体
  • 肥満、内臓脂肪、便秘
  • 内臓疲労、腹筋の弱体、腹膜の弛緩

 【脊柱管狭窄症、すべり症】

 中高年の方に多く、身体を反らせ、伸びをする時に症状が強くなります。

骨そのものに変形があるため、正直時間のかかるケースです。あくまで平均値

ですが、だいたい半年で症状が3割ほどマシになります。

 ただ、狭窄症があっても坐骨神経痛を発症しないというケースがあります。

つまり経験上3割くらいの方は「狭窄症はあるが、原因は梨状筋」ということ

があるということです。もちろん複合していることもあります。この場合なら、

症状は数回の施術で半減することが多いです。

 【腰椎ヘルニア】

 ヘルニアも骨の変形みたいなものですから、狭窄症やすべり症同様、骨が神経に接触しているために痛み

や痺れが発生しています。ただ好発年齢が2~30代と若く、前屈みの姿勢で発症します。胡坐をかいたり、

中腰になる時などですね。ヘルニアも組織自体の変形ですから、やはり難治で時間がかかることが殆どです。

 【骨粗鬆症、腰椎圧迫骨折】

 骨が崩れて神経が圧迫され、症状が出ています。こちらも骨の変形によるものなので、難治のケースです。

 【癌、動脈瘤】

 直腸癌膀胱癌、腸骨動脈瘤などの人体組織の変性が原因となって、神経や血管を圧迫することで発症

しています。こちらも多くは難治なケースです。

 【梨状筋症候群】

 坐骨神経は骨盤内からお尻へ走行する時に「梨状筋」という筋肉の隙間を通ります。この梨状筋は歩行時や

立位を維持する時によく使われます。つまり立ち仕事で緊張が強くなるため、坐骨神経を圧迫して痛みや痺れ

を誘発します。正体が筋肉の緊張なので、数回の施術で比較的簡単に痛みが改善されます。

 【臀部筋肉の弱体】

 お尻の筋肉は神経や血管を保護する役目もあります。神経や血管は守られていないと、衝撃や加重で圧迫を

受け、寒さで血流が低下します。神経が圧迫されれば痛みや痺れを発症しますし、血流低下は組織の栄養低下

を招き、虚血性の機能不全の原因となります。施術に筋力向上を併用すると、意外と症状が改善します。

 【肥満、内臓脂肪、便秘】

 これらの症状は直接に坐骨神経痛を誘発するわけではありませんが、腹部や内臓の脂肪、便塊などの重みで

腸や内臓の位置が下がって骨盤にのしかかります。この時に坐骨神経が圧迫されて痛みを発症することが

あります。この場合は、鍼灸、漢方、運動療法などを組み合わせて原因症状の改善を目指すなら、必ず痛み

や痺れを軽減させることができます。ただ、お腹の重みは腰椎すべり症の原因となりますので、この場合

はダイエットするだけでは、症状の改善は期待できません。

【内臓疲労、腹筋の弱体、腹膜の弛緩】

 内臓の位置を固定する腹膜や腹筋が疲労している状態です。内臓疲労も内臓下垂を引き起こすという意味

で同じカテゴリーです。つまり補中益気湯などが適応するケースだということができます。

 坐骨神経痛を発症する過程は上記の【肥満、腹筋の弱体、腹膜の弛緩】と同じなのですが、こちらの場合は

下垂する内臓を腹筋や腹膜が支えられないため、肩こり頚コリなどの不調も同時に引き起こしがちです。

 日々の節制と漢方指導を主として、補助的に鍼灸を用いれば改善が可能です。

坐骨神経痛(座骨神経痛)と東洋医学

 正直にいうと、私が施術した限りですが、坐骨神経痛には西洋医学的な鍼か中国鍼の方がよく効きます

これは私が未熟なためかもしれませんが、局所的な鍼を主とし、東洋医学的な鍼をそのサポートとして施術

した時、非難治性のケースなら大体5回以内で効果が確認できます。逆に経絡を意識した東洋医学的な鍼

だとほぼ改善できませんでした。

 そのため、当院では坐骨神経痛は局所的な西洋医学の鍼と、経絡を用いた東洋医学の鍼(症と証)を併用

した方法で施術しています。ただ、残念ながらヘルニアなど身体組織の変性に由来する難治性の場合では、

改善に時間がかかるというのが現状で、3か月がとりあえずの目安になります。

 昔、大阪の鍼灸院に勤めていた時に来られた本疾患の方は、右側だけがお尻から

脚にかけて全体的に細く痩せてしまっていました。この方には狭窄症も梨状筋の緊張

もなく、ただ鼠径部が異様に緊張して腰を丸め、仰向けに寝ても足を伸ばしきれない

という状態だったので、腸腰筋の緊張による腸骨動脈の圧迫が原因だろうと予測しま

した。脚部への栄養供給ができないために右足だけが痩せてしまい、虚血性の痛みか、

または同時に坐骨神経痛も圧迫されて痛みが出ていると思われました。

 鼠径部から腸腰筋を狙う鍼を粘り強く続けて、一緒に四頭筋やハムストリングスを緩めると、水が流れる

ような快感があるとかでかなり好評でした。恐らく血流が回復したのでしょう。鍼灸施術に十全大補湯

を併用しつつ、結局1年ほど施術した後、高齢ということもあってか、元通りとはいきませんでしたが、

ふとももの血色が随分よくなって、足を延ばして寝れるほどになった頃には、痛みもほとんど感じなく

なっておられました。

 毎回そううまくいくわけではないのですが、本件は私としては成功した部類に入れてよいと思います。

坐骨神経痛(座骨神経痛)と鍼灸治療

 東洋医学的には熱性、寒性、血虚性に分類していますが、ツボや刺鍼のコツに多少の違いはあっても、

内容的にはほぼ同じになります。ただ、体力がなさそうな方(虚証)の場合は鍼の数を減らし、刺入深度

もやや浅く、鍼も細めのものを使うようにしています。身体への負担が大きいと悪化させるリスクが

あるためです。

 最もよく使われるのが、この『環跳(カンチョウ)』です。『環跳』は取穴の仕方が色々あって、左の図は

教科書でも使われる一般的な環跳ですが、これを『裏環跳』ともいいます。本穴より、坐骨神経をめがけ

て、しかし当て過ぎないように深く刺入します。そうするとずーんとするような“響き”感を得られます。

環跳よりやや内側の『臀中』を使うこともあります。

 これら以外にもお尻の下の『承扶』から坐骨結節を狙います。『殷門』もよく圧痛が見られるポイント

で、頻用します。委中』『承山』は太もも、ふくらはぎの緊張がひどい時に使います。

 また、ツボ名はありませんが、大腿骨頭や腰の上前腸骨棘の周囲にはお尻、太ももの筋肉が集まって

います。坐骨神経痛の主要原因たる梨状筋もその一つですから、外せないポイントです。

 ヘルニア狭窄症の場合、それ自体を元に戻す力は鍼にはありませんから、神経根を狙うことが多く、

あて過ぎず、しかし離れ過ぎずを心掛けて刺鍼します。『腎兪』~『膀胱兪』あたりのツボを使います。

特に『腎兪』『大腸兪』前屈できないタイプの坐骨神経痛に有効です。

 『腎兪』『大腸兪』冷えからくるような坐骨神経痛では必須のツボです。写真のような「灸頭鍼」

という施術を行います。お灸の輻射熱で温めるという温灸の一種です。冷え、特に冬の冷えは足元から

侵入して腰まで至ります。この冷えを撃退するのが「灸頭鍼(キュウトウシン)」です。

 あと、虚血性の場合はどこかに“詰まり”があるので、それを丁寧にほどくように刺鍼すると効果的です。

 また坐骨神経痛の名人として名高い木下晴都先生によると、胃経の足三里は位置的に前脛骨筋部の

痛みや痺れに有効かと思いきや、下肢後面なども含めた坐骨神経痛全般に有効だとのことです。これは

私も何度か試してみたことがあるのですが、腕が未熟なためなのか、下肢前面には効果がありましたが、

後面の痺れには大して効果が得られませんでした。

【当院でよく使うツボ】

 個々の体質によって違ってくるんですが、統計的には「肝」の分類の病になっていることが多いです。

筋肉や血(ケツ)のトラブルですし、交感神経も興奮状態にあるので、「肝」がメインになってきます。

立ち仕事で精力的に働いているという方が多く、そのため陰谷』『曲泉』『中封などをよく使います。

同じような「血虚」の方でも完全にエネルギー不足になっているなら太衝』『太谿を選びます。

 それ以外にも頭や頚の重みで腰が引っ張られて発症しているという方が多いので、『天柱』『風池』

『天牗』など頚回りのツボはよく使いますし、足の外側が痛む時は陽陵泉がよく効きます。

坐骨神経痛(座骨神経痛)の漢方治療

 漢方の処方としては冷え、及び瘀血に対応する方剤がそのほとんどです。

 最も頻用される方剤といえば恐らく『芍薬甘草黄辛附湯』でしょう。『芍薬甘草湯』と『大黄附子湯』

合わせたもので、冷やす生薬の「大黄」、温める「附子」を一緒に入れている漢方薬です。下肢の冷えが

強い「実寒」の症状に使います。引き攣れるような痛みが強く、便秘があります。

 便秘がなく「大黄」のような下剤を使いにくいなら『芍薬甘草附子湯』です。発作性の疼痛があります。

 極めて初期の場合なら葛根湯を使うことがあります。内熱などの「裏実」がない場合に適します。

 当帰四逆加呉茱萸生姜湯冷え症の漢方として有名です。手足が冷える場合が適用となりますが、

強い痛みがある場合には効果が出にくい傾向があります。

 腰が冷えて痛み、ダルさを感じるなら下半身の寒湿でしょう。『苓姜朮甘湯』がよいかもしれません。

水分が多くなっているので、透明な小便がよく出ます。

 同様に体内の水分が多く、身体が冷え、そのために却って滞熱しているなら『麻杏薏甘湯』です。

 寒湿の邪が皮膚の下にあって水滞して痛むような場合なら、『薏苡仁湯』を試してみましょう。

 『五積散』冷え症の方が冷えたことで痛みを発症したような時に効果的ですが、痛みや痺れが軽症

の場合がその使い時です。重症の場合は不適なことが多いです。

 高齢の方で足腰に力が入らず、痛みもあるという時は『八味地黄丸』をよく使います。虚労性の坐骨

神経痛で、足腰が冷え、よく夜間にトイレへ行きます。糖尿の場合にもよい効果を期待できます。

 瘀血の場合は慢性痛になっていることも多く、改善するのも大変ですが、便秘をするタイプの方なら

桃核承気湯、便秘がないなら桂枝茯苓丸の適用です。打撲による神経痛などにも使います。

 『疎経活血湯』も同様に瘀血が原因となっている場合に用いられます。瘀血は気血の循環を悪化させる

ので、これを取り除いて血液を巡らせる漢方薬です。

 内太腿が特に痛む場合は『桂枝加苓朮附湯』を使うのが効果的です。

坐骨神経痛(座骨神経痛)の自宅ケア

 正直あまりお勧めしていません。ヘルニアやすべり症があるのに変なストレッチをして悪化したという

方が来院されたこともありますし、梨状筋のストレッチを頑張ったけど、ハムストリングスが原因だった

という方も診たことがあります。

 他の疾患に比べてリスクが高いといえるため、まずは原因を特定してから、その原因に適したケアを

心掛けてください。といいますか、積極的に鍼灸院などの医療施設を利用することをお勧めします。

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