下痢・水下痢・軟便【芦屋・西宮 鍼灸香春】
下痢・水下痢・軟便
東洋医学の下痢・水下痢・軟便チェックシート
東洋医学でいう下痢を早見表的に分類してみました。
熱のように見えて冷えが原因だったりと、分類しにくい点もあるので、目安にしてください。
熱下痢タイプ
❑ 便のにおいがきつい
❑ 食欲はある
❑ 牛乳やビールを飲むと下す
❑ 排便すると気持ちよい
❑ 体格がよく、筋肉質
❑ 口が乾いて、よく水分を摂る
❑ 逆上せ、頭痛、耳鳴り、肩こりがある
❑ 排泄すると肛門が熱く感じる
冷え下痢タイプ
❑ 便状が水っぽい水様便や未消化便
❑ 冷え症で手足が冷たく、寒がり
❑ 排便すると疲れる
❑ 胃腸が弱く、少食
❑ 小便が出にくいか透明で多量
❑ 元気がなく、うとうとしている
❑ 口に唾が溜まる
❑ 性行為のあとに下痢をする
血虚下痢タイプ
❑ 月経時に下痢をする
❑ 月経がだらだらと続く
❑ 産後から下痢が始まっている
❑ 便状は粘液便
❑ 立ちくらみや動悸がある
❑ 手足が冷たい
❑ 食欲はないが、食べられる
❑ 疲労すると下痢する
ストレス下痢タイプ
❑ 便状は泥状
❑ 疲れやすく、身体がだるい
❑ 食べると眠たくなる
❑ 脇腹や肋骨の下がキリキリと痛む
❑ おならやげっぷが多い
❑ イライラして、怒りっぽい
❑ 逆上せ、頭痛、耳鳴り、肩こりがある
❑ 気持ちが晴れず、鬱々とする
血虚下痢タイプ
手術や外傷などで血を失い、そのために身体が冷えて起こしてしまう下痢
です。女性では出産や月経に伴われることが多くあります。
冷えによる下痢の一種なのですが、このケースはいくら温めても本質的には
改善せず、一時しのぎになってしまいます。血(ケツ)を補うことと温めること
が必要になります。
エネルギーを消耗して起こる下痢、というのがポイントで、過度の労働や
疲労で起こる下痢もこのタイプです。
【漢方薬】
温経湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、当帰建中湯
ストレス下痢タイプ
ストレスや緊張に伴われる下痢で、交感神経が興奮することによるものです。
胃腸は副交感神経の支配を受けますので、交感神経が過剰に興奮すると消化
吸収機能や蠕動運動が停滞します。そのために下痢になります。
自律神経失調症の一種で、メンタルが大きく関与します。
整腸剤でも下痢を治めることはできますが、興奮、抑鬱が症状として強く
現れるなら、身体の余計な緊張を取り除くことを重視することもあります。
【漢方薬】
桂枝加芍薬湯、小建中湯、柴胡桂枝湯、甘草瀉心湯、銭氏益黄湯
下痢・水下痢・軟便
一言に下痢といっても様々で、食中毒によるものや冷えて下痢をするというスタンダードなものも
あれば、月経に伴う下痢もありますし、出産や流産のあとから下痢になるというパターンもあります。
これらの下痢は、なんらかの理由で冷えてしまっていることが原因となっています。
しかし、反対に熱が原因で下痢となることもあります。胃腸の炎症が原因になることもあれば、辛い
食べ物で誘発されることもあります。他にも上半身の熱の影響で下痢を起こすというパターンもあります。
食中毒によるものなら安易に止瀉処置をしない方がよいこともありますし、冷えならば温めます。
しかし、熱によるものならば温めると悪化することもあるので、熱を取り除くことが必要になります。
下痢・水下痢・軟便のメカニズム
図にあるように、便に含まれる水分量によって便状は変化します。水分量が少なければ
必然的に便秘となり、多ければ下痢となります。
つまり下痢の「直接的原因」は腸内に水分があふれてしまっていることだといえます。
普通、余分な水分は消化吸収の過程を経て、汗や小便として体外へ排出されますが、
胃腸の吸収機能の低下や処理量を超える水分摂取をすると下痢になります。
東洋医学的にいうと、冷えや熱、精神的原因などによって水分の処理が上手くいって
いないことが原因で、脾胃のトラブルとされます。
下痢・水下痢・軟便の原因
腸の機能を低下させる主な原因は左の表のようになっています。
①.暴飲暴食
食べ過ぎると、消化し切る前に排泄することになるため、便中に水分が残ったままになっており、
下痢になってしまいます。
②.アルコール
アルコールによって、水分やミネラルの吸収がしにくくなり、下痢となります。
③.ストレス
ストレスに対抗するために交感神経が活発に働き、反対に消化を促す副交感神経の働きを停止させる
ようになります。そのために消化吸収ができず、下痢となります。
こういった精神的なものに起因するケースは、鍼灸、漢方がよいです。
④.食中毒
サルモネラ菌やノロウィルスが有名です。下痢や嘔吐を頻繁に繰り返し、脱水症状に陥ります。
一応鍼灸にも対処法はあるにはあるんですが…。すぐにでも病院へ連絡してください。
⑤.冷え
よくあるパターンです。冷えにより消化管の血流が低下してしまい、腸の機能が発揮できなくなり、
下痢を起こします。ベースには冷えによる交感神経興奮が関与していることもあります。
血流低下が絡むため生理中の女性や出産、流産後の下痢、貧血傾向のある方などは、このパターンが
多くみられます。東洋医学的には“血虚”といわれます。血には陽気が含まれ、身体を温める作用が
あるので、血虚の方は身体が冷えてトラブルを起こしやすくなります。これを「虚寒証」といいます。
鍼灸、漢方が得意とする分野です。
⑥.アレルギー
体質による下痢で、牛乳を飲むと下痢をする場合も含みます。本来異物ではないものを異物として排除
しようとする結果、下痢を引き起こしています。少し下す程度なら鍼灸、漢方で十分対処できますが、
まずは正規の検査を受けておくべきです。
アレルギーは場合によって命にもかかわりますので、軽く見ずに腰を据えて対処するべきです。
鍼灸、漢方はその補助として大いに有効です。
⑦.感染症
問答無用で病院へ行っていただいています。
⑧.副作用
薬はお医者さんが、あなたの疾患に対して最良と判断して処方したものです。副作用はそのリスクの
ようなものです。ご自身の判断やネットでの情報などに頼って勝手に服用を中止することは危険な
場合もあります。どうしても副作用が辛い時は必ず担当の先生に相談の上、対応を決めてください。
別のお医者に相談してみるのもよいと思います。この場合も鍼灸、漢方がお役に立てると思います。
⑨.疾患
潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群、ポリープなどです。特に潰瘍性大腸炎は故安倍晋三総理が患って
おられた持病として有名ですね。本当に大変な難病です。
こういった疾患には直接的に東洋医学が効くということは少なく、慢性的な下痢によって失われる
体力を補うなどの対症療法的な施術になります。
現在ではよい治療法もあると聞いていますので、専門の病院を訪ねるべきです。
下痢・水下痢・軟便と東洋医学
漢方医学的には急性下痢は急激な冷えや過食、細菌などによるものとします。身体の外からの影響です。
逆に慢性の場合は消化器系を調整する「脾」や水分をコントロールする「腎」の不調として考えます。
身体の中のトラブルですね。
前者の場合、アイスクリームを大量に食べたとかで腸内に冷えや熱が過剰になっているので、多くは
排泄を促してトラブルの元である冷えや熱を排泄処理してしまいます。出してしまうとスッキリします。
後者の場合は、こちらは内臓の不調による慢性疾患ですので、胃腸の機能回復を目指して施術します。
慢性化している分、患者の体力が損なわれていることも多いので、あまり排泄を促すようなことはしません。
漢方もエネルギーを補充するようなものをよく選びます。
下痢の鍼灸治療
慢性の場合にはお灸がよく効きます。温灸でお腹を温めるのは勿論、臍の上約1㎝の所にある『水分』や
臍の横指3本分のところの『天枢』、臍と肋骨の丁度真ん中の『中脘』、臍の下指4本の所の『関元』などに
温かいお灸をしたりします。実はこれらのツボは下痢の原因となっている臓腑に対応しているので、本当は
身体の調子をよく見定めて用います。ただ、ご自身でケアなさる場合は、確率的には冷えていることが多い
のでお臍を中心に温めてあげましょう。温灸があればそれが一番ですが、なければ蒸しタオルでもよいで
しょう。広く温めれば臍の周囲にある『陰交』『肓兪』など冷えによいツボをまとめて温めることができます。
他にも『足三里』『三陰交』『太谿』などの足のツボを使い分けます。加えて下腹部や腰が冷えておられる
方も多いので、膝の『血海』を中心に内股を温めるのも効果的です。あとは手首の『陽池』や背中の『脾兪』
『腎兪』を『肺兪』『膈兪』『肝兪』などと組み合わせて使います。特に腎兪は腰痛や腰の冷えにもよく効く
ので、灸頭鍼という局所を強く温めることができるお灸を使います。
ご自身でケアされる場合は少し注意していただきたいことがあります。慢性化して冷えているケースでは、
これらのツボ(特にお腹)は基本的に温めます。あまり強い刺激を加えるとかえって下痢が激しくなることが
あります。ツボだからといってむやみに指で圧迫したりすると、悪化することもあります。
下痢の漢方治療
芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】
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