熱中症【西宮・芦屋 鍼灸香春】

熱中症

東洋医学の熱中症のチェックシート

冷え型熱中症

❑ 発熱するが、悪寒もある

❑ 汗が出ていない、または少ない

❑ 嘔吐がある

❑ 下痢がある

❑ きっかけが冷飲食である

熱型熱中症

❑ 発熱がある

❑ のどが渇き、冷水を飲みたがる

❑ 便秘する

❑ 大いに発汗する

❑ 頭痛があり、熱で身悶えする

冷え型熱中症

 暑さで冷たい麦茶やアイスクリームを食べ過ぎたりなどして、胃腸が冷えてしまったために起こる発熱症状です。

 消化器が冷えてしまったため、熱は体表に蓄積されています。体表の熱は熱量が少ないため発散できず、発熱症状を呈します。

 この場合、水分補給は控えめに行い、冷やすことよりもお腹を温めることを中心に考えなければいけません

熱型熱中症

 一般的にいわれる熱中症がこちらで、熱が体内に侵入し、身熱が高まり過ぎた状態です。発熱、発汗、煩躁などの熱性の症状が顕著に見られます。

 体内の熱が過剰になり、水分が枯渇して、冷却ができなくなっています。一般的に身体を冷やし、水分を摂取させ、直射日光を避けて休息させます。

 この場合、軽度であれば現場での処置で間に合うこともりますが、中程度以上の場合は医療機関での治療が必要になることがあります

熱中症について

 5月の声がかかると、朝夕はともかく、日中は気温も上昇して

きますので、熱中症への警戒が必要になります。

 西洋医学でいう熱中症はチェックシートでは『熱型熱中症』

当たります。

 病理的には暑さで発汗し過ぎて体内の水分が枯渇し、体内の熱が

排出できなくなって筋肉や循環器系、感覚や精神に影響を及ぼして

いる状態です。

 基本的な処置は水分摂取、身体冷却、避暑安静の3つですが、

ノドが渇いていなくとも、水分は枯渇しているというケースが多く

見られますから、こまめに水分補給をしておくことが望ましいです。

 冷やし方は左の図を参考にしていただくのがいいのですが、およそ

大きな動脈の通過部を冷やせばいいんですが、よく汗をかく所だと

思っていただけばよいと思います。

 東洋医学的には、これらに加えて面部や手のひら、足の裏を冷やす

よいとされています。これらの部位は毛細血管が多く、放熱機能が高く

なっている(外部との接点になっているということ)ため、ここを

冷やしておくのが効果的です。

熱中症と東洋医学

 三国志の時代に書かれた『金匱要略』にも登場する病で、当時は「中暍(チュウエツ)」と呼ばれていました。

 漢方医学的には熱中症は『冷え型』『熱型』に分類されます。それぞれ冷えと熱が原因になりますが、

そのベースには当然、熱症があります。

 『冷え型』は「中暑(チュウショ)」といい、『熱型』は「中熱(チュウネツ)」ともいいます。

 「中暑」について古典書籍『脾胃論』には「涼を深堂大厦に納れて之を得る」とあります。つまり、

暑いからといって、クーラーの効いた部屋で冷たい食べ物や飲み物を摂り過ぎて、胃腸の機能が低下した

ことによるものという意味です。ある意味、夏バテにも共通する所があります。

 病理的にはお腹が冷えて熱が体表へ追いやられています。しかし本質は冷えなので熱量が足りず、

放熱が上手くできていない状態です。発熱は控えめで、悪寒があります。汗は止まっていることが多く、

腹痛、下痢、嘔吐などが見られます。『熱型』にも共通する所はありますが、所々に冷えの症状が

見られるのが特徴です。冷やす処置よりもお腹を温める方を優先してください。

 古典の本には「温石で温めればよい」とか「お腹に石で丸く囲いを作って、その中に小便をしろ」など

と書かれています。温石や小便で少し温めるだけでも効果があるということですね。冷やしてしまうと

悪化してしまうこともあるので、水分摂取をさせた後は直射日光を避け、お腹を温めてあげましょう。

 あるなら温灸がいいんですが、利用できるものがなければ手で温めるのもよい方法です。

 「中熱」は一般的な熱中症です。発熱が強く、大いにノドが渇いて水を欲しがり便秘します。

小便も赤っぽく、大量に発汗し、頭痛や身体の熱が強く、身悶えしたりしますが、時に悪寒もあります。

 同じく『脾胃論』には「行人或いは農夫は日中に労役して之を得る」とあります。昼間に活動した

ことで身体に許容量以上の熱が入り込み、発汗が追い付かず、体内の水分が枯渇した状態です。

危険な状態なので身体冷却、水分摂取、避暑安静の対処をして、意識や精神に変調があるなら

すぐ医療機関へ行く必要があります。鍼灸漢方はごく初期か後療として利用するのみです。

 実は「中熱」には続きがあります。強烈な熱で発汗を長時間続けると、津液(水分)が

完全に枯渇してしまい、侵入した熱が身体の奥に籠ってしまう状態になります。体力が尽きて、

熱という侵入者(邪)に抵抗できなくなっているわけです。

 熱中症としての危機は回避しているのですが、身体に負ったダメージが大きく、回復に時間を

必要としていて、「後療」が求められているステージです。

 熱症状を呈してはいるのですが、体力が失われているということで「陽虚」として扱って処置

するようにします。「中暑」同様、胃腸に活力を与え、エネルギーの生産を促すように誘導し、

全体に強い施術よりも、身体に溜まった邪熱は潤して清熱するというのがよいと思います。

熱中症の鍼灸治療

 まずお断りしておくべきことは、「中暑」であっても「中熱」であっても急性の熱中症には鍼灸は不適

です。してはいけないということはないでしょうが、「中暑」ならお腹を温め、「中熱」なら冷却飲水

するというセオリーを守ることが最優先です。必要があるなら医療機関へ急いでください

 鍼灸はごく初期か、または症状が落ち着いて後療が必要になった段階で輝くことができます。

この段階は「夏バテ・夏やせ」としてすでに紹介してありますので、そちらをご覧ください。

熱中症の漢方薬

 漢方薬も、現代では急性状態を過ぎて症状が落ち着き、夏バテ状態となった場合に用いられるべきです。

こちらも「夏バテ・夏やせ」に準じますが、代表的なものを紹介しておきます。

 熱が盛んとなっている「中熱」では、『白虎加人参湯』がよく用いられます。本来は急性の熱中症に

用いられるべき漢方薬ですが、現代でそのように用いるのは疑問のある所です。大汗をかいて、大いに

ノドが渇くような方に使います。熱で身悶えし、皮膚が火照り、小便がよくでます。症状が落ち着いた

後にそれでも内熱が強いような方に用いると効果的です。

 同じく「中熱」で、しかし症状が少し軽いような人には『清暑益気湯』がよいです。よく汗をかき

ノドが渇いて胸がざわざわするのは『白虎加人参湯』と同じですが、食欲不振下痢が見られます。

いわゆる夏バテで、胃腸の疲労があるために消化や吸収が上手く機能できていない状態です。本方で熱の

処理をするのと同時に胃腸機能を回復させてエネルギーを生産し、身体に活力を取り戻しましょう。

 「中暑」であれば、体力が低下して怠く暖かいものを食べたがり、しかし食べると眠くなります。

眼つきや言葉に力がなく、口にサラサラの唾液が湧くというなら補中益気湯を服用してみましょう。

 同じような症状ですが、下痢や食欲不振が強いなら四君子湯』『六君子湯がよいと思います。

もともと胃腸が弱いという方に適しています。

 人参湯も似たような症状ですが、胃腸が弱く、お腹に水気が多いためにちゃぷちゃぷと音が鳴り

口に唾液が多くなります。もともと冷え症で、下痢しやすいような方に向いています。冷えが強い

場合は本方に「附子」を加えた『附子理中湯』にすることもあります。

熱中症の自宅ケア

 熱中症は自宅でケアすることには不適です。軽症の場合は冒頭で紹介したような、セオリー通りの

処置で間に合うこともありますが、身体や精神、意識に変調をきたすようなら医療機関へ赴くか、

救急車を呼んでください。熱中症は臓器の機能不全も引き起こすので、命にかかわることもあります

 症状が落ち着き、それでも辛さやしんどさが抜けない時は「夏バテ・夏やせ」を参考にして、

お近くの鍼灸院を訪れてみてください。

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