『至陰(しいん)』【西宮・芦屋 鍼灸香春】
【膀胱経井穴。足の第5趾、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分に取穴】
逆子で有名なツボ『至陰』が今回のテーマです。しかし、それだけではありません。
『至陰』が所属する膀胱経は、頭の先から背中を通って足の先まで分布して、陽気を巡らせるメイン
ストリートになっています。そのため、経絡のどこかが詰まってしまうと、行き場を失った陽気(熱)が
頭に溜まってしまい、発熱や頭痛、めまい、耳鳴りの原因となります。風邪をひいた場合も同様です。
詰まる場所が足なら坐骨神経痛や膝痛に、背中なら背部痛になったりもします。
このような時、本穴は井穴ですから、詰まって動かないものを“通過させる”作用があります。要するに
風通しを良くして、詰まっている陽気を足へと誘導し、経絡を交通整理するわけです。
下半身へ誘導された陽気は腰部から生殖器系へも波及するため、遺精や尿閉(小便が出せない)にも
効果があります。また足の冷えにも有効ですし、逆に刺絡などで数滴の出血をさせれば足裏の熱感を取り
除くこともできます。陽気の循環に携わる本穴は様々な症状に有用であるといえます。
当院では足冷する方に『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』と併用して、『至陰』『崑崙』『太谿』などを
用いることがあります。ただ、運動療法を混ぜないと効果を出しにくいのが難点でしょうか。
小便のキレが悪い人、すっきり出ないという人には本穴にパイオネクスというシール型の鍼を使い、
お風呂でよく背中を温めるのが効果的です。シャワーで頭から足までゆっくり温めるとよいです。
【ツボの取り方】
取穴方法は簡単で、爪の付け根の外側、その端っこです。指先は神経密度が
高いため、鍼を刺すには向かないので、刺さない鍼の鍉鍼(テイシン)を用います。
例外的に刺絡をすることもありますが、妊婦の方の場合は“陽気を漏らし”てしまう
ため、禁忌とされています。私も余程の場合でない限りは使いません。
ご自身でケアをされる場合は、軽くもんであげるのがよいでしょう。頑健な人
なら爪楊枝でつつくのもいいと思います。妊婦の方などは、冷えがあるなら足首と
一緒に温めてみてください。
(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』
『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』
『鍼灸経穴名の解説(高式国)』『経穴の使い方・鍼の刺し方(鍼灸素霊会)』)
芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】
芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【はり灸専門】
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