めまい、メニエール病【西宮・芦屋 鍼灸香春】

めまい、メニエール病

東洋医学のめまい・メニエール病のチェックシート

陽虚型めまい

❑ 目が回る感じ

❑ 目の前が暗くなる

❑ 顔が白く、冷え症

❑ 手足に力が入らない

❑ 動悸がする

❑ 足元がふわふわする

陰虚型めまい

❑ 立ちくらみがある

❑ ノドが渇く

❑ 頭痛、不眠がある

❑ のぼせる

❑ 寝汗をかく

❑ 痩せている

水毒型めまい

❑ 立ち上がれない

❑ 色白で水太りする

❑ 下痢や吐き気がある

❑ 耳鳴りを伴う

❑ 痰がよく絡む

❑ 胃腸トラブルがある

陽虚型めまい

 陽虚型は一言でいえば電力不足によるもので、“気虚”として紹介されたりもします。

 人間の精神や臓器の微妙なバランス調整は自律神経で行われますが、東洋医学ではその働きを“神(シン)”といいます。

 陽虚になることで、この“神”が上手く機能しなくなって、細かい調整ができずにめまいを起こしている状態です。

 同時に耳鳴り動悸も発症することがあります。陽気は身体を温める機能もあるので、冷え症を伴うケースも多く見られます。

 【漢方薬】

真武湯補中益気湯、帰脾湯

陰虚型めまい

 身体の水分や血液が少なることで“虚熱”という廃熱が発生している状態です。この廃熱によってめまいが引き起こされているのですが、本質的には過労などによる“腎虚”や“血虚”がベースにあります。

 ひどい症状になることは少ないですが、熱が主体のため、のぼせたり頭痛や肩こりが発症したり、不眠を伴ったりします。舌が赤っぽいことが多いです。

 熱感を感じているため、寝汗をかいたりして暑がりですが、意外と足は冷えていたりします。

【漢方薬】

四物湯、六味丸、竜胆瀉肝湯、釣藤散、白虎湯

水毒型めまい

 体内に湿気が強いため、水太りして筋肉が軟らかく、浮腫みがあります。おしっこはあまり出ませんが軟便で、消化管で水を捌き切れていないため、お腹がちゃぷちゃぷしています。吐き気や耳鳴りを伴うことが多く見られます。

 体内の湿気は固まると痰になります。この痰が代謝を阻害するために起こるめまいが水毒型で、メニエル病も多くはここに分類されます。

 また、痰は冷えや熱と結びつきやすく、めまい以外にも様々な病の起点となります。多くは脾胃に代表される消化器の機能不全や負担増加が原因です。

【漢方薬】

半夏白朮天麻湯、沢瀉湯、五苓散真武湯

めまい・メニエール病の基礎と原因

 めまいの西洋医学的な原因は大きく分けて3つあります。

 ①.内耳に原因がある(60%以上)

 ②.脳に原因がある(10%程度)

 ③.その他(30%程度)

 

 割合を見ていただければ分かると思いますが、ほとんどの場合は①の内耳のトラブルが原因です。

②の脳疾患は数こそ少ないですが、場合によっては命にかかわるので、慎重な対処が必要です。

③のその他には首肩のこりや自律神経性のめまいが含まれます。ただ割合はひっくるめて30%です

のでそれほど多くはありません。

 

【①.内耳の問題】

 これには有名なメニエール病、頭位性めまいなどが分類されます。

 左の図でいうと緑色の部分に問題があります。この部分を蝸牛、三半規管と

いいますが、内部はリンパ液で満たされ、聴覚や平衡感覚を司ります。蝸牛で

リンパ液が溢れると難聴や耳鳴になり、三半規管で溢れることでめまいを誘発

します。より正確にいうと、その中にある耳石のトラブルです。

 あと、内耳から脳へ伸びる前庭神経に炎症が起きた時もめまいを発症します。

 内耳が原因のめまいは、鍼灸漢方による施術が効果的です。

 

【②.脳の問題】

 急な血圧低下、脳出血、脳梗塞、小脳性疾患などによって発症するめまいです。東洋医学で本質的な

対処が可能なのは血圧低下くらいで、その他に対しては対症療法として施術し、とりあえずめまいを止める

というのが一般的です。鍼灸での根本的解決は難しいケースです。

 頭痛、意識障害、ろれつの乱れ、手足の痺れなどを伴う場合は、まずは病院で精密検査を行うべきです。

検査結果が安全と判断された上で、めまい、頭痛、痺れなどの症状を対症的に処置します。

 

【③.その他】

 他に原因となるものは、心因性、首肩のこり、心疾患、低血糖、起立性調節障害などに由来する自律神経

失調などが考えられます。首肩のこり、自律神経失調などは鍼灸漢方が有効です。心因性はストレスや

鬱症状などによるもので、これも漢方医学がお役に立てます。心疾患については対症的処置になります。

 コリによるめまいというのは、血流障害やリンパ液の循環障害などを誘発することによるものです。

めまいの方はたしかによく首肩のコリを訴えますが、めまいでない人も70~80%は首肩のコリを感じて

いますから、無関係ではないにしても直接的な因果関係や関与の程度については不明です。 

 

よくあるめまいの症例(便秘めまい)

 高齢の方で入浴中に腹痛を訴え、めまいを起こして浴室で倒れたという方が来院されたことがあります。

 よく伺ってみると、日頃から便秘がちで、入浴は夕食にうどんを食べた後だったということで、鍼灸は

便秘の処置をして、漢方は整腸作用を重視するか、排泄を促すかで迷い、結果的に麻子仁丸をアドバイス

しました。その後便通が改善して、それ以来めまいを起こすことが劇的に少なくなっているらしいので

よしとしています。

 このケースはよくあるんですが、食後の消化吸収中に屈むような姿勢をとるのは、よくありません

胃から大腸への食物の移送を妨げるからです。洗髪の際などに頭を下げますが、その時お腹を曲げている

ために食物が通行できず、まずそれが腹痛の原因となります。

 その上、消化が停滞してしまい、腸蠕動と消化を促すために血液が身体中から必要以上に胃腸へ集まる

ので、貧血を起こしてめまいになります。便秘があれば腹痛は更に激しくなります。

 この方は『陰虚型めまい』に属するタイプなのですが、便秘が主原因と考えてとりあえずは排泄を促す

ことにしました。ひと段落すれば腸に潤いを与えるように工夫が必要になります。

 

めまい・メニエール病と東洋医学

 東洋医学的なめまいの原因は、「エネルギー不足」「熱の過剰」「湿気」の3つが考えられます。

 まず【エネルギー不足】は「陽虚」や「気虚」と呼ばれます。胃腸が悪く、消化吸収ができずに

エネルギーが作れていないこともありますし、なにかの都合で血液循環ができていないこともあります。

そのため脳の陽気が保てず、五感や平衡感覚といった微妙な神経の調整ができなくなって、めまいを

誘発してしまうケースです。同時に神経や感覚に関係する症状(難聴や味覚異常、感覚鈍麻など)を

発症することもあります。

 

 次に【熱の過剰】ですが、人体は加齢や疲労などを原因として、体内に「虚熱」という廃熱が発生

します。この虚熱が四肢へ行くと手足が熱く感じ、胸に留まると動悸、ノドへ向かうと咳、顔へ上ると

ほてりとなり、耳へ行くと耳鳴りを発症します。同様に頭に虚熱が溜まることでめまいも誘発されます。

 これが熱の過剰によるめまいのプロセスですが、虚熱を発生させてしまう身体の状態を「陰虚」と

いいます。しかし逆にいうと、熱による疾患はこの陰虚を治めてしまえば改善できるということです。

 陰虚状態ではイライラなどの精神症状や寝汗などの自律神経症状を伴うことがあります。

 

 最後の【湿気】はいわゆるなどがそれにあたります。浮腫などの消化されずに残留している水分も

そうです。こちらは(イン)といいます。漢方医学では総称して水毒(スイドク)」と呼ばれるものです。

よく見かけるのは胃内停水という、お腹がちゃぷちゃぷとする状態で、これは「水毒」のサインです。

 つまりお腹に水気が多いため、上半身と下半身での陰陽の交流が出来なくなってめまいが起きている

のです。少し加えて説明しますと、陽気は熱なので身体の上部に上りやすくなりますが、それを足元まで

引き下ろすのが膀胱経という経絡になります。逆に水分などの陰性のものは足に溜まりやすく、それを

引き上げて陰陽を交流させて均衡を保つのです。この陰陽二つの気が、お腹の水に遮られて水分代謝が

滞ってめまいを誘発します。蝸牛や三半規管のリンパ液が汚れるのも水分代謝が関与しますから、これも

同じくめまいの原因となります。小便が出ない割に水をよく飲む、飲食すると嘔吐するなどの消化器系の

症状を伴うことが多いです。

 

めまい・メニエール病の鍼灸治療

 『陽虚型めまい』の場合は足の『太衝』『復溜』『申脈』『衝陽』、手の『陽池』『外関』、お腹の

関元』『中脘』、背中は『三焦兪』あたりで反応のある所を選びます。

 『陰虚型めまい』なら手の『合谷』『手三里』『中渚』と足の『足臨泣』『陽輔』、背中は『肝兪

腎兪』をよく使います。

 

水毒型めまい』は足の『足三里』『豊隆』、お腹の『水分』『天枢』『中脘』を選穴します。背中は

脾兪』『胃兪』『腎兪』あたりが主役になります。

 局所的には頭の『百会』『翳風』『完骨』『本神』『頭臨泣』、首の『天柱』『風池』、背中の『膏肓』、

耳の前の『聴宮』などから選穴します。あとは首や肩、後頭部、側頭部の筋肉を緩めるように施術します。

水分、血液の循環を改善するだけでも、めまいは改善されます

 

めまい・メニエール病の漢方薬

 『苓桂朮甘湯』は起立性のめまいによく使われます。胃腸が悪く、胃下垂や心臓動悸などがあります。

水分過多で、特に胃の中の湿気がトラブルの中心になっています。加えて神経症やノイローゼなどの

メンタル的な問題を抱えている場合によく用います。

 顔色が悪く、冷え症で低血圧傾向があり、足元がふわふわしてふらつきます。そんな方に『真武湯

をよく用います。陽虚型に使いますが、同時に胃の中に水が溜まっています。そのため水毒型にも適応し

ています。冷えの強い人のメニエル病にも使われます。

 『沢瀉湯』は寝ていて天井が回るようなめまいによく使われます。船酔いにも効果的です。

 水毒型のメニエルなら『半夏白朮天麻湯』がよく選ばれます。胃腸が弱く、アトニー傾向があります。

食欲はあまりありません。足が冷え、頭痛や吐き気があって、疲れやすい方向けです。

 逆に熱症状を示す場合のメニエルには『白虎加桂枝湯』がしばしば有効です。のぼせて顔がほてり

頭痛がします。汗をかいてよくノドが渇き、小便がよく出ます

 高血圧や脳動脈硬化傾向がある場合のめまいには『釣藤散』を使います。起床時にめまいや頭痛

感じやすい人向けです。癇癪持ちでイライラしがちです。

 更年期障害が目立つなら『連珠飲』。

 やや虚弱な女性で、かーっと熱くなり、スーッと寒気を感じるような方のめまいには『加味逍遥散』。

 水を飲むとめまいが激しくなるという場合は、利水剤の『五苓散』をよく使います。ノドが渇く割に

小便が出ていないのが特徴です。体内の水分が過剰になっています。

 『黄連解毒湯』は体内に熱が強く、逆上せ、高血圧などによって誘発されるめまいに有効です。

赤ら顔で胸がざわざわするのが特徴です。少々精神的に不安があります。

 強い倦怠感を伴って起きるめまいには『補中益気湯』がよいでしょう。気虚型のめまいに用いるので、

胃下垂やアトニーなどがあることもあります。

 思い悩むことが多く、貧血や倦怠感が強い場合なら『帰脾湯』。不眠や物忘れを伴います。心労

かさむ人によく使います。

 貧血を主体とするめまいには『四物湯』がよいでしょう。頭部の血流が不足している状態で、顔色が

悪く、頭が重い、めまいを起こす時は目の前が暗くなる感じがあります。貧血のため、爪の状態が悪く

皮膚も乾燥してカサカサになっていたりします。

芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

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