大柴胡湯【芦屋・西宮 鍼灸香春】

大柴胡湯

 

 

柴胡(苦平)8、黄芩(苦平)・芍薬(苦平)3

大棗(甘平)4、半夏(辛平)・生姜(辛温)5

枳実(苦寒)2.8、大黄(苦寒)2

 柴胡剤系の漢方薬で、強い作用を持つのがこの『大柴胡湯』になります。

 この柴胡剤シリーズは、何に使うのか一言で説明するのが難しいのですが、小柴胡湯同様、半外半裏

(少陽)に停滞した熱を取り除くというのが主作用になります。そして本方の場合は体格がよく、体力の

ある実証タイプの方に用いられるため、胃腸にもその熱が波及している状態だと推測できます。

 このような少陽~胃腸にかけての熱を、排泄を促すことで取り除くのが本方の薬効ですから、そのため

便秘薬として紹介されることも少なくありません。

 

【大柴胡湯の病理】

 つまり、少陽~胃腸に熱が停滞しているために発症した胃酸過多胃炎、胸やけ、胆石、肝炎、黄疸、

気管支喘息、肩こり、高血圧、蓄膿、肺炎、食欲不振、嘔吐、肥満、糖尿、中耳炎、脱毛などの症状に広く

応用されるということです。その際、胃腸の熱の為に便秘になる、という意味であって、便秘ならなんでも

よいということではありません。

 ポイント的にいうなら少陽と胃腸の熱が強いために派生する症状と便秘がある場合に用いられます。

ただ、これでは大承気湯小承気湯とほぼ同じになってしまいますが、本方の適応疾患では少陽

にも熱があり、この熱は『承気湯類』では処理できない熱なので、この点が重要になります。

 少陽の熱のため「往来寒熱」という、カーっと熱くなり、スーっと寒くなる症状を呈することもあります。

 

【大柴胡湯の特徴】

 本方の適応証では、胃腸に熱があるため食欲は過剰になりますが、左の図にある「胸脇苦満」が強いと、

胸が痞えてしまい、却って食欲が低下することもあります。「胸脇苦満」というのは少陽に熱がある時に

現れる症状の一つで、肋骨の下あたりが硬くなり、圧迫すると嫌な痛みを感じる症状で、精神的にイライラ

する特徴があります。また、脇腹も硬く張ってしまい、可動性が低下するため、肩こりを誘発します。

 内熱が高まるので気鬱、ノイローゼ傾向があって高血圧の原因となり、その熱が上部へ上ることで、不眠

のぼせ、耳鳴りなどになりやすく、これらの特徴に便秘が加わっていれば、大筋で本方の適用でしょう。

 外見的には体格がよく、我慢強い方が多いですが、限界に達すると大爆発を起こすタイプです。

 

【適応疾患】

 過食者や愛飲家の方が適用になりやすいため動脈硬化、心筋梗塞、心悸亢進、脳出血、高血圧といった

心、血管系の症状をよく現します。同時に腎炎や尿路結石、糖尿、肥満なども適応疾患になります。

 また、胃腸の熱による胃酸過多、胃腸炎、胃潰瘍、肝炎、胆石、膵炎、口臭などにも使います。

 こうした体内の熱は蓄積されてノイローゼ、癲癇、気鬱、不眠便秘、蕁麻疹などの原因となり、

これらも本方の適用となります。

 これ以外にも少陽の熱はその支配領域の肋骨の下、脇腹、鼠径部、腰部などに波及しますから、肩こり

五十肩腰痛を誘発します。この少陽の熱は少陽胆経を遡って頭へ巡るため、耳鳴り、頭痛、めまいなど

を発症します。

 

(『宋版傷寒論』『漢方医学体系(龍野一雄)』『金匱要略解説(金子幸夫)』『薬方愚解(木田一歩)

 『中医臨床のための方剤学(神戸中医学研究会)』『漢方主治症総覧(池田政一)』より)

芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【はり灸専門】

芦屋市大原町の鍼灸院。JR芦屋駅より徒歩6分。東洋医学(鍼灸、漢方)で、首コリ、肩コリ、五十肩、腰痛、ぎっくり腰、膝痛、季節の不調、自律神経失調症、頭痛、耳鳴、めまい、鬱、不眠などに対応します。芦屋、西宮、東灘、灘区、神戸、宝塚などで鍼灸院をお探しの方へ。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です