便秘【芦屋・西宮 鍼灸香春】

便 秘

 

 

東洋医学の便秘チェックシート

 便秘は、東洋医学的には以下のように一応分類できます。目安にしてみてください。

 

熱便秘タイプ

❑ 便が硬く、臭いがきつい

❑ 小便が黄色い

❑ 口臭がある

❑ 暑がりでよく汗をかく

❑ 体格がよく、筋肉質

❑ お腹が硬く張っている

❑ よく食べ、よく飲む

❑ 冷たいものが好き

冷え便秘タイプ

❑ 細かく、切れ切れの便

❑ 小便が近く、透明で多い

❑ 顔が青白い

❑ 手足が冷たく、寒がり

❑ 体格が細く、筋肉が少ない

❑ お腹が冷えて、力がない

❑ 食欲が少ない

❑ 暖かいものが好き

気の便秘タイプ

❑ 便が細い、またはコロコロ

❑ 消化不良気味で、未消化便

❑ おならやげっぷが多い

❑ 便がすっきり出ない

❑ 深呼吸、溜息が多い

❑ 普段から疲れやすい

❑ 食欲不振

❑ 排便が難航して、疲れる

瘀血便秘タイプ

❑ 便の色が黒っぽい

❑ 顔色が悪く、青黒い

❑ 唇や舌が黒っぽい

❑ 臍の周囲を押さえると痛い

❑ 生理不順や生理痛が強い

❑ 皮膚にシミが多い、サメ肌

❑ 眼のクマがとれない

❑ 足が冷えて逆上せる

熱便秘タイプ

 身体に熱が多くなって、腸内の水分が不足し、便秘しているタイプです。

 アルコールや辛いもの、味の濃いものを好んでよく食べます。

 熱が強いために暑がりで、冷たいものを好みます。胃にも熱があるため

口臭も強く、体臭もあります。

 お腹、特に臍の周りが硬く張り出している、重役タイプの肥満型が多く

みられます。

 体力があるので、排泄を促して熱を冷まし、身体に潤いを与え、

体質改善を目指します。

冷え便秘タイプ

 生ものや冷たい食べ物を食べ過ぎたり、冷房で身体を冷やしたため、

便秘しているタイプです。もともと冷え症で、熱産生能力が低いという

ベースがあります。

 冷えて胃腸の動きが悪くなったための便秘なので、胃腸を温める施術や

漢方をお勧めしています。

 ただ、水太りしているタイプで便秘している場合、当院ではまず余計な

水分を処理することを優先しています。また、ほっそりして筋肉が薄い方の

場合は、気のトラブルとして考えることもあります。

気の便秘タイプ

 気のトラブルは“気滞”という、不要な気体が溜まって動かなくなっている

状態による場合と、“気虚”という、気の働き(筋肉や神経を働かせている

エネルギー)が弱くなっていることで起きている便秘があります。

 どちらも気の供給が滞るため、胃腸や腹直筋の動きが悪く、排泄に手間

取って疲れます。そしてすっきり出ていない感じ(残便感)が残ります。

 気滞や気鬱ならおならやげっぷが多く、お腹が張った感じがするので、

留まった気を流して排泄を促すようにします。

 気虚ならもともと疲れやすく、排泄後に疲労してぐったりします。気を

補充して体力を回復させ、自然排便できる身体づくりを目指します。

瘀血便秘タイプ

 瘀血の場合、唇や舌が黒っぽく、サメ肌や小さなデキモノができます。

この瘀血が腸内、血管、臓器内に溜まって便秘となっています。そのため、

下腹部が硬く張って、少し押さえるだけでキュッとした痛みがあります。

 瘀血は循環せずに淀んでしまった血液や体液のことですから、積極的に

排泄を促します。便秘が解消してゆくと同時に肌も血色を取り戻しますし、

サメ肌なども改善されてゆきます。

 便や月経が黒っぽく、粘っていたりします。臭いも強く、生理痛もきつく

なる傾向があります。

 気のトラブルも絡むのですが、漢方では「駆瘀血剤」などで対処します。

 

 便秘の分類と原因

 便秘もよく相談を受ける疾患の一つです。女性が多いですが、男性もちらほらおられます。

 個人的に便秘は鍼灸・漢方の腕の見せ所だと思っていますので、お悩みの場合はぜひご相談ください。

 

 便秘の原因は大きく2つとそれ以外の、合計3つに分かれます。

①.機能的便秘

  要するに大腸の働きが悪くなって、便の輸送ができていない状態です。

  この場合、「大腸の輸送能力の低下」「排泄する力の低下」とがあります。

②.器質的便秘

  大腸の形が変化したことによる便秘です。この場合は少し警戒必要です。

  というのも大きな病気が隠れている場合があるからで、癌や腫瘍などがその代表です。

  腹部の手術跡が癒着するケースなどもあります。

  便秘時に吐き気や貧血、出血を伴うようなら、一度検査を受けた方がよいかもしれません。

③.その他

  大腸のトラブル以外では糖尿病などでもなりますし、呼吸器系の疾患がある方は排便時に力むことが

 難しくなるため、やはり便秘になりがちです。

  他には薬を服用することで誘発される便秘もあります。貧血や高血圧、不眠、鬱、パーキンソンなど

 に使う薬です。

 【本質的原因】

 考えられるのは、水分不足、運動不足、食物繊維の不足、不規則な生活、ストレス、ホルモンバランス、

腸内環境の悪化、筋力低下などです。

 これらを“腸活”でまとめて解消するというのも一つの手です。大変有効な方法だとも思います。

ただ経験則上、それで治ったら苦労はしない、というのが私の素直な感想です。

 そこで、東洋医学では便秘をどう捕らえて(これが重要です)、治療するのかを書きたいと思います。

便秘と東洋医学

 東洋医学では腸に熱があるかどうかがまず重要です。

①.熱がある場合

  熱により腸内が乾燥して、便がスムーズに流れていかないというのが基本ですが、胃に熱が強く、

 食欲旺盛になって便秘になっている場合もあります。どちらも体力がある人の場合が多いです。

  またアルコールや甘いものなどを多飲多食する場合は、熱に湿気が加わってベタベタとした便に

 なり、排泄が難航している場合もあります。

②.冷えがある場合

  熱がある場合なら腸の働き自体は活発なのですが、逆に冷えている場合は、腸の動きが悪くなって

 しまって便秘を誘発していると考えられます。胃腸が弱くて少食な方が多く、反対に下痢になって

 いることも多々あります。湿気と結びつくと更に悪化します。

 では、こうした熱や冷えはどこから来るのでしょうか。

 ひとつには季節の影響(気温)がありますが、それ以外にも冷たい飲み物、辛い食べ物、アルコール、

糖分などといった外部からの影響が考えられます。これは分りやすいと思います。

 もうひとつは内部からの干渉です。人間は日常生活を送る上で、頭を使って情報処理し、身体を

使って行動しています。当然、この時エネルギーを消費するんですが、その際に廃熱のようなものを

排出します。これを「虚熱」といいます。スマホを使っていると熱くなりますね、あれです。

 この「虚熱」が頭へ上ると頭痛や鼻詰まりになりますし、ノドに行くとエヘン虫に原因になります。

肩に行けば肩こりを誘発し、耳に行けば耳鳴りになります。そして胃腸に貯まると便秘になるのです。

 また逆にエネルギーを使い過ぎて、機能低下を起こすこともあります。これを「虚寒」といいます。

電池切れです。この冷えが胃腸へ行くと食欲低下消化不良冷え症などの原因になります。当然、

機能低下を引き起こすので、便秘の原因にもなります。

 

便秘の鍼灸治療

 以上のような原因に対する対処法は全て異なります。

 概ね熱が強いなら排熱を促し、冷えがきついなら温めて保温することが基本になります。ただ「虚熱」

「虚寒」はその熱や冷えがどこから来ているかによって、使うツボが変わります。たとえば腎の冷えから

来ている便秘なら『京門』『太谿を中心に、背中の『命門』や前腕の陽池を使い、下腹部を温灸で

温めたします。胃の熱から来ているなら足三里やお腹の『中脘』を使い、前脛骨筋の硬くなった所に

刺鍼して胃経の熱を漏らすようにしたりします。

 というように五臓に由来する病はそれぞれの経絡を使うため、必然的に使うツボも違ってきます。

 以上のような経絡別の施術法もあるんですが、直接的に排便を促すツボというものもあります。

 臍からの指3本分横へ行ったところにある『天枢』、更に1本分外側の『大横』、天枢から更に指3本分

外側へ行ったポイント、天枢から指3本分下側の『大巨』。他には臍と肋骨の中点の『中脘』、背中の

『大腸兪』、足の『公孫』などが有名なところです。お腹のツボを使う時は深めに刺鍼して少し響かせる

ようにします。特にお尻へ向けて響くといい感じです。

 あと、有名な『神門』のお灸ですが…やり方が悪いのか、あまり効果が上がったことがないので、

当院では使っていません。

 これらのツボ、特に臍を中心とした天枢、大横などは少し圧迫しつつマッサージしてあげるとお腹が

ぐるぐると鳴ったりして、腸の蠕動が促されます。

便秘の自宅ケア

 腸揉みをしてみるのもよいと思います。左の図の番号順にやるのが効果的です。

 また「便秘と東洋医学」で紹介した、特に臍周りと下腹部のツボを中心にマッサージするのも効果的です。

この時、皮膚表面を冷やさないことがポイントになります。冷え型便秘は勿論、熱型便秘であっても表面が

冷えるのはよくありません。体表に冷えを感知すると交感神経にスイッチが入って血管や腸管は収縮し、

腸の蠕動運動は停滞してしまいます。つまり便秘が悪化します。ただ熱型便秘の場合は暖め過ぎても悪化

するので、お風呂とか空調を利かせた室内とかでケアするのがよいでしょう。

 しかし過大な効果は期待できません。あくまで対症的な一時しのぎですから、本質的には解決しません。

便秘の漢方治療

 漢方は微妙な判断が必要なので、ステレオタイプなところだけを。

 体力のない高齢の方の慢性便秘なら『麻子仁丸』。加えて足腰に力が入らず、コロコロの兎糞便

なっているなら『八味丸』。麻子仁丸よりも体液が少なくて、乾いた感じが強いなら『潤腸湯』

 体力のある方で、冷え逆上せや月経不順などがあるなら桃核承気湯がよいでしょう。

 下剤に過敏な方なら、まず小建中湯』『桂枝加芍薬大黄湯』からアプローチします。

お腹が張って便秘している方は、体力があるなら大承気湯体力普通くらいなら小承気湯

体力のない人には『調胃承気湯』がセオリーです。高齢の方であれば、これに四物湯を合わせる

のもよいと思います。不足した血(ケツ)を補って腸を潤すという意味合いがあります。

 胃腸が弱くて、手足が冷える方の便秘には『附子理中湯』でお腹を温めます。

 単純な便秘で、リスクが少ないのは『大黄甘草湯』。比較的健常な方によく使います。

 体力があって体格もよく、口が粘って苦く感じ、肋骨の下が硬く張って、圧迫すると嫌な痛みが

有るような方であれば大柴胡湯がよく合います。

 重役型の肥満タイプの方で、お腹を触ると臍のあたりが盛り上がったように固く張っているなら

『防風通聖散』を使います。高血圧で便秘、過食しての食滞という詰まりの症状があるのが特徴です。

 ここに紹介した内容は目星なので漢方服用をお考えの場合は、必ず専門の漢方店をお訪ねください。

              芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

 

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