『陽池(ようち)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】
【三焦経原穴。手関節背面の横紋の中央、その陥凹部に取穴する】
「原穴」は五行でいうなら火の属性になります。「火」には光としての作用と熱としての作用があり、
「原穴」はその内の熱の作用を伝える働きがあります。
熱は身体や内臓器官を動かす力であり、エネルギーです。このエネルギーのことを東洋医学では
「相火(ソウカ)」と呼びます。正体は熱なので、過剰に供給されると炎症を引き起こしますし、足らな
ければ冷え症の原因となったりします。この「相火」は心包経と三焦経によって管理運用されます。
その意味では、三焦経の原穴である『陽池』は熱エネルギーの過不足をコントロールする主役であり、
大変重要なツボです。
ちなみに光として作用は「君火(クンカ)」といい、神経作用などの脳機能や各臓器、器官の調整などを
担当します。これは心(シン)と心経が主ります。
風邪や関節炎、口の渇きなどの熱の過剰を治める時によく使われますが、ご自身でケアするなら、
圧迫しない程度に優しくマッサージしてください。手のひらで包んで暖めてあげるのもよいと思います。
「三焦」という言葉には全身を表す意味があるので、その “通じ” をつけるという作用があります。
通じというのは水の通りのことですが、これが通じないと、冷えや熱が集まって動かなくなってしまう
ため熱や冷えの症状を現します。本穴及び三焦経は、その状態を回復させる効果があります。
【当院での経験】
昔、流産をしてから疲れがひどく、汗が止まらないという人に腎経を中心にして、『陽池』を加えて
施術すると初日で汗が止まり、再度移植手術を受けれるところまで回復したことがありました。もともと
小柄で少食、繊細なタイプの方だったので、心身のダメージが大きかったのだと思います。本穴は
こうした極度のエネルギー不足による症状にも使えます。
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