小建中湯【西宮・芦屋 鍼灸香春】

小建中湯

 

 

桂枝・甘草・生姜3、大棗4、芍薬6、膠飴26

 

 『小建中湯』は腹痛胃腸虚弱胃下垂など、お腹の不調によく使われる漢方薬で、胃腸不良による

体力回復不全疲労倦怠などを主治します。

 ただ、胃腸薬というのなら他にも『六君子湯』や『安中散』『平胃散』などがあります。

 では、どのような時に本方を選ぶべきなのでしょうか。

 『小建中湯』は胃腸の調子が悪く、飲食物の消化吸収に難があるという状態がベースにあります。

東洋医学では胃腸の機能低下状態を“脾虚”といいます。脾に力がない状態ですね。そのために栄養を吸収

できていないのは勿論、水分から“津液(シンエキ)”という体液が作れていません。津液は各器官や筋肉の

潤滑油となり、加熱した身体を冷却し、炎症を抑える働きも担います。

 この津液が欠乏すると腎陰虚という状態を引き起こし、体内で発生した廃熱(虚熱)を収めることが

できなくなります。発生した虚熱が心(シン)へ移動すると動悸を病み、体表へ移動すると風邪を引いた

時のような悪寒発熱を発症します。このような時に本方を用います。

 発症のきっかけは、体力のない人が無理をして津液や血(ケツ)を消耗した時や風邪の初期に間違った

治療を受けたことで体力を失ったことなどが原因になります。

小建中湯の適用

 虚弱タイプで疲れやすく、動悸を伴うことがあります。胃腸が弱く少食気味で、軟便未消化便になり、

そのために弛緩性便秘になることもある。手足はほてる、または逆に冷え、強めの腹痛があります。

特に小児の夜尿症疳虫鼻血虚弱児の体質改善などには用いて効果があります。

 本方は以上のような弱点(虚)を補って体力を高め、壮健な身体を作る漢方です。総じていえば

胃腸が弱いために胸や手足に熱がある」という虚弱タイプの方によいでしょう。

 胃下垂、胃拡張、胃痙攣、胃酸過多、消化不良、食欲不振などの胃腸の不調を主として、胆石黄疸

脱腸、腰痛、腹痛に用いられます。他にも、胸に熱があるため動悸高血圧、肩こり、喘息にも有効です。

意外なところでは結膜炎仮性近視、羞明のような眼の疾患、頻尿多尿といった泌尿器系の疾患など、

胃腸不良からの体力低下に由来する疾患には大いに役立ってくれます。

(『宋版傷寒論』『漢方医学体系(龍野一雄)』『大塚敬節著作集

 『漢方主治症総覧(池田政一)』『薬方愚解(木田一歩)』より)

芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

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