胃もたれ・胸やけ・胃痛・食欲不振【芦屋・西宮 鍼灸香春】

胃もたれ・胸やけ・胃痛・食欲不振

東洋医学の胃もたれ・胸やけ・胃痛・食欲不振チェックシート

 原因らしい原因が見当たらないのに、こうした症状だけが見られる場合があります。

つまり原因不明ですが、このような状態を総称して機能性ディスペプシアと呼びます。

 鍼灸漢方は体質と症状で施術、処方を判定しますので、実は原因はそれほど重要ではありません。

胃腸虚弱タイプ

❑ 手足が冷える

❑ 大便がベタベタ

❑ 息切れする

❑ 疲れやすい

❑ お腹が張る

ストレスタイプ

❑ イライラする

❑ 頭痛がある

❑ めまい、目がかすむ

❑ 不眠、浅眠である

❑ 吐き気、げっぷがでる

体力不足タイプ

❑ 腰や膝が痛む

❑ 手足が冷える

❑ 夜に頻尿がある

❑ げっぷがでる

❑ 下痢する

冷え湿気タイプ

❑ お腹が冷えて痛む

❑ 大便がベタベタ

❑ 暖めると気持ちいい

❑ 雨の日は調子が悪い

❑ 足がむくむ

胃腸虚弱タイプ

 東洋医学上では『脾気虚』と呼ばれます。“脾”というのは“胃”のパートナーで

あり、“脾胃”を合わせて消化器を意味します。

 脾の気が虚すると、まず消化・吸収機能が低下します。そしてエネルギー不足

から、体内にある腹膜や腱、靭帯(結合組織といいます)の強度が落ちます。

そのため内臓下垂を引き起こすので、胃下垂や脱肛などの遠因にもなります。

食後に眠たい、だらだらしてしまうなどの特徴があります。

【漢方薬】

四君子湯、六君子湯

ストレスタイプ

 『肝鬱』といわれるタイプです。ストレスをため込み、イライラが限界にまで

達しています。苛立ちで交感神経が興奮しているため、消化器系の働きは停滞

してしまい、胃腸の不調とストレス症状を現します。

 怒りっぽく、ソワソワし、側頭頭痛や耳鳴りがあり、夜は夢をよく見てすぐ

起きてしまって不眠傾向があります。便秘がちのことが多く、肋骨の下が硬く

張り、腹筋も緊張気味です。

【漢方薬】

小柴胡湯

体力不足タイプ

 『腎陽虚』といわれますが、人間の本質的な、生命力ともいうべき体力が

不足しています。『腎陽』は半分は父母から先天的に授かったものですが、

もう半分は後天的に飲食物のエネルギーで養われるものです。

 この腎の陽気で胃を暖め、飲食物でシチューを作っています。それが栄養に

なるのですが、腎陽虚のために消化ができない⇒腎陽が衰える⇒腎陽虚が悪化

するの悪循環に陥っています。

【漢方薬】

真武湯

冷え湿気タイプ

 湿気で冷えているタイプで『寒湿』といいます。消化器系を意味する“脾”は

胃腸が機能しなくなるため、過剰な水分を嫌います。水分が多いと、消化吸収し

切れず、浮腫みや冷えを現します。腸内が水浸しになって、大便はベトベトに

なり、エネルギーを作れなくなります。身体が重怠く、雨の日は殊に調子が悪く

なります。身体の水分に冷えが入っているため、寒気がしつこいので慢性的な

冷え症になりやすく、特にお腹を暖めることを好みます。

【漢方薬】

呉茱萸湯、茯苓飲

胃もたれ・胸やけ・胃痛・食欲不振の原因・症状

 機能性ディスペプシアの本質的原因は不明です。ただ、胃もたれや胸やけ、胃痛などの

症状だけがみられます。

 本来ならば胃下垂や胃炎といった原因があって、様々な症状を現す筈ですが、左の図のような

要因があるだけで、原因までは遡れない状態です。一応、不眠やストレス、飲酒、喫煙、菌、

ウィルスなどが原因と考えられますが、残念ながら可能性の域を出ません。

 ただ鍼灸・漢方はあなたの体質を判断して、症状に至る道筋を見極めて施術、処方を行います

その意味では、東洋医学は原因が不明でも、対処は可能だということです。

 ではどのような時、機能性ディスペプシアを疑えばよいのでしょうか。

  • 胃もたれ、胸焼けがする
  • ミゾオチあたりが痛む
  • 胃に熱感がある、消化不良
  • げっぷがよく出る、お腹が張る
  • すぐに満腹になる、食欲不振
  • 画像検査などでは異常がない

 だいたい以上のような症状を感じる時に可能性があります。ただ、同じような症状は癌や重篤な疾患が

隠れている時にも見られますので、まず一度病院で検査を受けてみるのがよいと思います。そこで原因が

不明となったら、改めて鍼灸・漢方をお試しいただくのがよいでしょう。

胃もたれ・胸やけ・胃痛・食欲不振の漢方薬

 ここでは原因と症状から漢方薬を紹介していますが、原因不明の機能性ディスペプシアの場合もこれを

応用する形になります。

 胃に水が溜まってお腹がちゃぷちゃぷしている場合で、胃の機能が低下している時は『人参湯』です。

冷え症で口に唾が溜まり、小便がよく出ます。食後すぐの胸やけ、食欲不振、胃下垂の方にも適します。

 お腹に水気はなくて、倦怠感が強く、頭が重い感じして、胃の機能低下があるなら『小建中湯』。

胃酸過多、胃下垂の方にも適し、痩せすぎの小児にも使います。鼻血をよく出すという特徴があります。

 疲れが強く、胃部が痞えて気持ち悪く、腸が蠕動する感じがあるなら『大建中湯』。腸内にガス

溜まってお腹が張ります。体力がなく、食べることができないという人によく効きます。

 胃が重たくて食欲がなく、下痢、吐き気、疲れ、浮腫があり、手足が怠い場合は『六君子湯』。

胃下垂、慢性腸炎、膨満感の方にも適します。

 動悸、立ちくらみ、お腹に水気がある、胃が重くて気分が悪くなるというなら『苓桂朮甘湯』。

 『半夏白朮天麻湯』は頭痛、めまい動悸手足の冷えがあって、食後に眠くなる方にお勧めです。

お腹に水気があります。

 体力がやや乏しく、血色悪く、めまい下痢手足の冷えがあり、歩くと足がふわふわとする方なら

真武湯』がよいでしょう。胃下垂、慢性腸炎の方にも適します。

 胃炎がベースにあって、嘔吐や下痢をし、お腹がゴロゴロ鳴るなら『半夏瀉心湯』。

下痢が強くて、不眠などの精神症状もあるなら『甘草瀉心湯』の方がいいでしょう。

 胃炎があって水様の下痢をし、ノドが渇いて水を飲むのに小便が出ないという人には『五苓散』です。

 胃酸過多があって胃炎・胃痛を起こしているなら『安中散』ですが、胃潰瘍や胃下垂による胃痛にも

効きます。お腹に動悸があります。

 『黄連解毒湯』が適するのは体格のよい方で、胃腸炎、出血傾向があります。熱を冷ます作用が

あるので冷え症や血色の悪い方には不適です。

 逆に冷え症の方で胃炎を起こし、頭痛や吐き気が強く、手足が冷えているなら『呉茱萸湯』です。

食べても太れないという、体力不足気味の方にも効果があります。

 空腹時に痛みを感じる胃炎には『柴胡桂枝湯』がよいです。

 『平胃散』はいわゆる食べ過ぎによい整腸剤です。

 消化器や呼吸器の機能を向上させる『補中益気湯』は体がダルく、疲れやすいというタイプの

胃下垂の方に適します。

 胃酸が減ってしまう減酸症には、お腹がゴロゴロ鳴ること、下痢があることを目標に

生姜瀉心湯』を選びます。ミゾオチが硬く張り、胃もたれがあります。

 神経質なタイプの減酸症なら『小柴胡湯』。発熱後から続くような胃部不快感、食欲不振にも

使えます。

 胃酸過多には上で紹介した『小建中湯』。お腹に水気があり、痰が絡んだりするなら『茯苓飲』。

条件次第では『呉茱萸湯』になります。

 胃部に膨満感があって食が進まず、夏バテぎみなら『清暑益気湯』。

 ダイエットなどによる精神的な拒食症状には『抑肝扶脾散』がよいですが、臓器などに機能的、

器質的に問題がない場合に使います。

胃もたれ・胸やけ・胃痛・食欲不振の鍼灸治療

 『胃腸虚弱タイプ』の方への施術で主役になるのが「六つ灸」です。背中にある『膈兪』『肝兪

脾兪』のことで、胸椎の7・9・11番の少し外側のツボになります。その名の通り、お灸をする

ことが多いですが、箱灸でまとめて温めたりもします。『胃兪』も消化器系にかかわるので一緒に処置

することが多いです。胃腸の機能を向上させ、消化吸収を助けます。他のタイプの方でも、

突き詰めれば胃腸の不調だといえるので、六つ灸は外せない重要なツボになります。

 お腹にある『天枢』も汎用性の高いツボです。臍の少し外側にあります。大腸の動きを活性化し、

飲食物から獲得した栄養を全身へ巡らせる風車のような役割を持ちます。『大巨』も似たような作用が

あり、便秘にも使います。特に『ストレスタイプ』には効果的です。

他にも『中脘』が重要になります。上腹部で少し硬く張っていたりします。

胃腸が弱く、冷えて下し気味なら『関元』も選穴します。

 膝の下にある『足三里』も胃腸機能を向上させるツボとして有名です。肘のそばにある『手三里』も

併せて使うと効果的です。『胃腸虚弱』『冷え湿気』のタイプによく使います。

 『冷え湿気タイプ』の方は腎の陽気が足りていないので、腰の『腎兪』『志室』『三焦兪』『命門』、

足の裏の『湧泉』、内踝の『太谿』、手首の『陽池』『大陵』などを使います。温灸やちくっとする

お灸などを使います。腎の陽気は、別名を「命門の火」といいますが、命に係わるほど大切という意味

でしょう。丁寧に施術していきます。

 痰や浮腫みがひどい場合は『豊隆』、胃が冷えて動きが悪ければ『衝陽』を加えています。

 『太白』『商丘』『陰陵泉』などは『胃腸虚弱タイプ』に有効ですが、冷えているのか、熱があるのか、

気の不足なのかによって使い分けます。

芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

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