『陰陵泉(いんりょうせん)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】
【脾経合水穴。下腿内側で、脛骨内側顆下縁と内縁が接する所に取穴する】
合穴は“逆気”を降すといわれています。逆気というのは気が胸へせり上がってくるような状態で、
呼吸促拍や咳、胸苦しさ、動悸などの症状を現します。ひどく咳込むような時や皮膚の乾燥が
激しい時、ノドがヒリヒリと乾く時など、肺の熱による症状がある時にもよく使います。
また、脾は胃腸の司令塔ですから、胃腸関係の病、特に下痢や便秘のようなトラブルではお世話に
なります。あとは肝、心、脾、肺、腎の五臓に病がある時にも使うといわれますが、私はこのパターン
で使ったことはまだありません。なにか意味やポイントはあるんでしょうけど…。
『陰稜泉』は『太白』や『商丘』などに比べてポイントが奥にあるため、鍼も必然的に深く刺します。
1㎝~3㎝といわれますが、参考文献によっては5~6㎝ともされています。そのせいか、肝経、腎経にも
影響を及ぼすツボでもあります。膝回りのツボはいろいろありますが、冷え症の改善や浮腫み、排尿時の
トラブル、不妊症などにも大いに有効なものが多くある重要ポイントです。
ツボの取り方が少し難しいかと思いますが、下腿の内側で、脛骨の内縁に沿って指をさすり上げてゆくと
自然に止まる所があると思います。そこが『陰稜泉』になります。
慢性的なお腹の冷えや下痢、小便が出ない方、月経痛や月経不順など、排泄機能不全を改善する作用が
あります。ご自身でケアする場合は、本穴のみならず、膝裏やふくらはぎも含めて温めるか、手のひら全体
でマッサージしてみてください。
【主治・効能】
・逆気を下降する。肋膜炎、腹膜炎、特発コレラ、消化不良、腸疝痛、遺尿、失禁、膣内炎
・逆気を下降する。胸膜炎、腹膜炎、消化不良、悪心、嘔吐、腸疝痛、下腹部膨満、下腹部厥冷、
遺尿、尿失禁、膣内炎
・腹の張り、下痢、膝の痛み、浮腫み、小便不通、月経不順
・腹痛、脹満、水腫、泄瀉、小便不利、遺精、遺尿、尿閉、月経不順、帯下、女子陰部痛、
大腿・膝部の腫痛・麻痺
・腹堅、喘逆、疝気、癥瘕、遺精、遺尿、暴泄、餐泄
・内股や下腹部の冷え・引きつり、臍部の痛み、胸の病、脾虚で軟便、尿トラブル、のぼせ、
糖尿、子宮内膜炎
(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』
『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』
『鍼灸経穴名の解説(高式国)』『経穴の使い方・鍼の刺し方(鍼灸素霊会)』)
芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】
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