【陽陵泉(ようりょうせん)】【芦屋・西宮 鍼灸香春】
【胆経合穴。腓骨頭前下方の陥凹部に取穴する】
本穴は膝の下にあるツボです。膝の関節炎に使いますが、特に膝が立たないような時に有効です。
具体的には痛みあったりや力が入らず、階段を登れない時に用います。
他にも足の浮腫みや冷えの改善でも使いますし、腰痛や坐骨神経痛などの各種神経痛にも効果的です。
特に太腿の側面(大腿筋膜張筋)が緊張して痛んだり、ダルいというような方に喜ばれます。
更には、昔は半身不随や舞踏病の治療にも使われていたようです。とかいいつつ中風(脳梗塞)の
特効穴には選ばれていなかったりしますが。
ともあれ『陽陵泉』には「筋会(キンエ)」というあだ名があります。筋肉の不調時に使うとよいという
意味です。胆経には引き攣りや痙攣といった筋肉の症状が現れやすく、その中心的存在が本穴だといわれ
ているわけです。本穴が直接に影響している膝下の前脛骨筋、太ももの大腿筋膜張筋(腸脛靭帯)が骨盤
を中心とした身体の歪みに大きく関与しているからでしょう。
変わった所では帯状疱疹の後遺症にも使うようです。陽陵泉が所属する胆経というグループは、身体の
境目、例えば上半身と下半身、前面と後面などの境界線を走行しているのです。その部位が丁度帯状疱疹
が出現しやすい部位と一致するので、それを胆経の熱によるものと考えて陽陵泉で清熱して収めようと
いう狙いだと思われます。
なんにせよ、膝や膝下のトラブルでお困りの方に使って間違いのないツボだといえます。
浮腫み、冷えの改善について
たしかに『陽陵泉』には足の冷えや浮腫みを改善する作用がありますが、東洋医学は魔法ではないので、
「なぜか効いた」なんてことはなく、効果のある施術は全て必ずちゃんとした理由があります。
陽陵泉の位置は前脛骨筋という筋肉のすぐ傍ですから、前脛骨筋の動きを改善する作用もあります。
前脛骨筋はつま先を上に向ける時に使う筋肉で、後脛骨筋や腓腹筋、ヒラメ筋(ふくらはぎ)と共同して、
膝や足首の動きを主動します。これらの筋肉がうまく連動してくれていると、ふくらはぎのポンプ作用が
正常に働いて血流が改善し、足の浮腫みや冷えの改善につながるというわけです。その意味では膀胱経の
『委中』『委陽』、腎経『陰谷』、脾経『陰陵泉』、肝経『曲泉』などの膝周りのツボと組み合わせる
のが効果的です。足の浮腫みや冷えでお困りの方はぜひお試しください。
エクササイズとしてはカーフレイズが有効です。つま先立ち運動ですね。
基本的には左の図を参考にしてください。高齢の方の場合は、壁などに手を
ついて怪我をしないよう、気を付けて行ってください。
可能なら1㎝くらいの雑誌を敷いて、踵をはみ出させるようにすると足首が
背屈するので、動かしにくい後脛骨筋にも刺激が入るのでより効果的です。
膝そのものに問題がなく、冷えや浮腫みにお悩みの場合は、これだけでも
そこそこの効果があります。
私が陽陵泉を使う場合、脛腓関節部に鍼を打つと書きましたが、これは昭和の鍼灸師・柳谷素霊先生の
鍼の打ち方を紹介した上地栄先生に倣っています。脇腹が痛むような腰痛や膝の痛みなどにテキメンです。
腰や膝に関与する筋肉や経絡は多いため、必ずしも陽陵泉を使うというわけではありませんが、『丘墟』
でも『太衝』でも『臨泣』でも適応条件さえ一致していれば、かなりの効果を上げることができます。
逆にいかに名穴であっても、使うべき時に正しく使えないのであれば、効果は上がらないものです。
なので「腰痛はこのツボ」とか「不妊は冷えが原因」とか、こういったセールストークを安易に信じて
しまうのは危険です。ちゃんと身体を見てもらえる鍼灸院を選ぶのがよろしいかと思います。
【主治・効能】
・膝関節炎、脚気、下肢外側の筋肉萎縮、神経麻痺・痙攣、神経痛、半身不随、リウマチ、顔面浮腫、舞踏病
・偏風、半身不随、足膝冷痺不仁、脚気、筋攣
・坐骨神経痛からの足痛・腰痛、階段を登れない膝痛、脳卒中後遺症、帯状疱疹の痛み止め、三叉神経痛、顔面神経麻痺、逆上せ
(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『鍼灸経穴名の解説(高式国)』『経穴の使い方鍼の刺し方(鍼灸素霊会)』より)
芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】
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