【膀胱経合穴。膝の後面、膝窩横紋の中央に取穴する】

　腰痛の名穴として名高い『委中』は、いわゆる膝裏に位置します。

　ただし、腰痛なら何にでも効くというわけではありません。太ももの裏のハムストリングスという

筋肉が緊張して誘発される腰痛に著効があります。その意味では坐骨神経痛にも効きますし、経験上、

前屈ができないという人に用いて大いに改善したこともありました。

　これはハムストリングスの緊張を緩めているということですが、同時にそのハムストリングスによって

圧迫を受けている血管も解放され、留められていた血流が巡行を再開し、血液が下肢へと行き渡る

ようになります。血液は身体の組織を養う栄養ですから、下肢へ流れ出した血液が半身不随にも有効

だとして用いられますし、上半身の血液が引き下げられることになるので、のぼせるタイプの頭痛や

肩こりにも効果的です。

　首や肩のこり、背中の緊張に本穴が有効なのはこうした理由のためです。前回ご紹介した『崑崙』など

と組み合わせると更によい結果が得られます。逆に一時的な貧血を誘発してしまうことにもなるので、

多少の注意は必要でしょう。

【ツボの取り方】

　膝の裏の中央が本穴ですので、どなたでも問題なく取穴できると思います。ただ、ポイントが膝の奥深く

にあるので、単純なマッサージでは効果を得にくくなっています。ご自身でケアすることに危険性はほぼ

ありませんが、現実的でもありませんので、専門の鍼灸院などをお訪ね下さい。

【主治・効能】

・熱病で四肢発熱＋発汗、流行性感冒、リウマチ由来の膝関節炎、肥大腰痛、坐骨神経痛、筋炎、癩病

　毛髪・眉毛脱落などに瀉血して効有

・坐骨神経痛、下肢疼痛、半身不随、脚気、膝関節炎、下肢麻痺、腰痛、背部疼痛、頭痛、頚項痛、風邪

　四肢発熱、リウマチ、筋肉痛、腓腹筋痙攣、尿閉、膀胱疾患、腎疾患

・腰骨痛、下肢痛、頭頂痛、腹痛、吐き下し、暑気あたり

・腰背部痛、膝関節の腫痛、腹痛＋嘔吐下痢、下肢痙攣痛・麻痺

・腰脊背痛、半身不随、風痺、遺尿、腓返り、頭痛

・坐骨神経痛、膝関節炎、膝の伸屈不可、腰背痛、股関節の痛み、実証型の肩こり