小柴胡湯【芦屋・西宮 鍼灸香春】

小柴胡湯

 

 

 『小柴胡湯』は「風邪の中期に使われる漢方」として有名ですが、風邪のみならず極めて応用範囲の

広い漢方です。無論、対応疾患も多種多様で一概に「風邪の漢方」とはいえません。その意味では

葛根湯』によく似ているといえます。

 小柴胡湯がいろいろな疾患に使われるのは、東洋医学の生理学、病理観の特殊性のためです。

 これは諸説あるんですが、漢方の大家・大塚敬節先生の論を基本にして書きます。まず東洋医学では

人間を『内』と『外』に分けます。大雑把に「内」は内臓などのことを指します。反対に「外」は皮膚や

筋肉、脂肪などのことを指します。

 ここから少しややこしいのですが、この『外』の一部を「表」と呼びます。その対義となる「裏」の

一部が『内』になります。そして小柴胡湯は『外』と「裏」の間に病がある時に使われます。簡単にいうと

「陽」と「陰」の隙間、移行部のことだと思ってください。この部位を「少陽」と呼びます。身体の深さで

いうと筋肉や骨と内臓の中間あたり、体表でいうなら脇腹や首スジ、肋骨の際、股関節あたり(鼠径部)、

場合によっては足の外側も入ります。この少陽の部を漢方の古典『傷寒論』では「半外半裏」と書かれて

います。現代では「半表半裏」と呼ばれることもあります。

 この半外半裏 ≒ 陰陽の中間に熱が籠って病となっているため、少陽の病は熱症状と冷え症状を併せ持つ

傾向があります。小柴胡湯はこの少陽の熱の処理に効果があるため、必然的に応用範囲も広くなっています。

 使用時のポイントは、肋骨の下縁がキリキリと痛んだり痞えたりして、圧迫されるのを嫌います。寒気と

熱感が交互する往来寒熱(オウライカンネツ)食欲不振耳鳴り頭痛めまいがあります。吐き気

口の中が苦く感じられます。

 対応する症状は風邪気管支炎、おたふく風邪、肋間神経痛、肋膜炎、中耳炎、耳下腺炎、扁桃腺炎、

リンパ腺炎、乳腺炎、肺炎、不安不眠、癲癇、神経症、自律神経失調症、円形脱毛症、精神性不食、減酸症、

虚弱児、疳虫、自家中毒、肩・首こり、蓄膿、便秘、蕁麻疹などです。

 また、月経中の発熱産後に手足が火照る場合などにも使われます。

 少陽病は、風邪であっても汗をかかせて治すことには適しません。中焦(お腹)に水気が溜まっているため、

本方の薬効を利用して利尿させるのが適切です。

 いろいろなものに使えるというのは便利ですが、本質を踏み誤ると効果がないどころか悪化したりもします

漢方薬をお求めの際はあなたの身体と体質をよく診てくれる専門の漢方店でご購入ください

(『宋版傷寒論』『漢方医学体系(龍野一雄)』『大塚敬節著作集

 『漢方主治症総覧(池田政一)』『薬方愚解(木田一歩)』より)

 

芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

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