🍵小柴胡湯(しょうさいことう)【ツムラ9】
小柴胡湯
『小柴胡湯』は「風邪の中期に使われる漢方」として有名ですが、風邪のみならず極めて応用範囲の
広い漢方です。無論、対応疾患も多種多様で一概に「風邪の漢方」とはいえません。その意味では
『葛根湯』によく似ているといえます。
小柴胡湯がいろいろな疾患に使われるのは、東洋医学の生理学、病理観の特殊性のためです。
これは諸説あるんですが、漢方の大家・大塚敬節先生の論を基本にして書きます。まず東洋医学では
人間を『内』と『外』に分けます。大雑把に「内」は内臓などのことを指します。反対に「外」は皮膚や
筋肉、脂肪などのことを指します。
ここから少しややこしいのですが、この『外』の一部を「表」と呼びます。その対義となる「裏」の
一部が『内』になります。そして小柴胡湯は『外』と「裏」の間に病がある時に使われます。簡単にいうと
「陽」と「陰」の隙間、移行部のことだと思ってください。この部位を「少陽」と呼びます。身体の深さで
いうと筋肉や骨と内臓の中間あたり、体表でいうなら脇腹や首スジ、肋骨の際、股関節あたり(鼠径部)、
場合によっては足の外側も入ります。この少陽の部を漢方の古典『傷寒論』では「半外半裏」と書かれて
います。現代では「半表半裏」と呼ばれることもあります。
少陽病は、風邪であっても汗をかかせて治すことには適しません。中焦(お腹)に水気が溜まっているため、
本方の薬効を利用して利尿させるのが適切です。
いろいろなものに使えるというのは便利ですが、本質を踏み誤ると効果がないどころか悪化したりもします。
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(『宋版傷寒論』『漢方医学体系(龍野一雄)』『大塚敬節著作集』
『漢方主治症総覧(池田政一)』『薬方愚解(木田一歩)』より)
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