当帰芍薬散【芦屋・西宮 鍼灸香春】

当帰芍薬散

 

 

当帰・川芎・白朮・茯苓3、芍薬・沢瀉4

当帰芍薬散と不妊症

 ここ10年で有名になった感じのある『当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)』はよく不妊症の方に処方されます。

漢方関係の文献を読んでも、確かに不妊に効果があると書かれています。ただ、一口に不妊症に使う漢方

といっても『温経湯』や『四物湯』『当帰建中湯』『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』『桃核承気湯

桂枝茯苓丸』『補中益気湯』など、多種多様にあります。つまり不妊症だからといって『当帰芍薬散』を

服用すれば、それでなんでもよいというものではないということです。

 昔、私が勤めていた三ノ宮の不妊鍼灸漢方専門を謳う鍼灸院の院長も、「当帰には葉酸がたくさん含まれ

ているので、じゃんじゃん血液を造ります」と患者の方に説明してはいましたが、ではなぜ当帰建中湯や

当帰四逆湯ではないのかと聞くとまったく答えられていませんでした。つまり「よく分かっていなかった

というわけですね。専門なのに。

 不妊鍼灸漢方のデメリットについてはまたいずれお話しします。

 上に挙げた漢方薬にはそれぞれ違いがあります。小さな違いもあれば、正反対ということもあります。

場合によっては害にもなりますし、どちらでも適応するということもあります。

 ただ単純な確率論に従うなら不妊には当帰芍薬散が当たることが多いです。

効果アリが4割、有害が1割、意味ナシが5割とか、およそこんな感じだと思います。

つまりセールストークが上手ければ9割の人にはバレずに売りつけることができるのです。

当帰芍薬散の適用

 ではどのような方に当帰芍薬散は適応するのでしょうか。

 当帰芍薬散を構成する生薬の「当帰」「芍薬」は造血作用が強く、「川芎」で血液を循環させ、「白朮

は浮腫みなどの余分な水分を利尿させ、「茯苓」は水の循環代謝、「沢瀉」で乾燥を潤して利尿、という

役割分担になります。ぱっと見た感じ「水の停滞」と「血液の不足」ですね。これが答えです。

東洋医学的には「水滞」「血虚」といいます。血液は“津液(シンエキ)”、つまり水分のことですが、それと

飲食物の栄養から作られますから、いい方を変えると「余計な水分が多く、血液に変化できていない

という方に適している漢方だといえます。

 「水滞」と「血虚」がある方には、貧血、立ちくらみ冷え症、手足が冷える腰回りがぶよぶよする、

冷えて腹痛を起こす、月経時の頭痛、月経障害疲れやすくダルい、不眠や過眠がある、慢性的な下痢

頭が重い小便が少ないなどの症状が見受けられます。

 血虚と水滞があるため、身体が暖まらずに冷え症になります。水分が多いので下痢し、エネルギーが

少ないため疲れやすく、顔色も青白くなり、頭もぼーっとして重く感じます。痩せて筋肉の軟らかい

タイプが多いですが、水滞が強いため肥満型になることもあります。

一見色白でほっそりして見えるため、昔は「当芍美人」なんて言葉もあったようです。

 以上のことから、当帰芍薬散に合う人というのは基本的に熱やエネルギーが不足しているタイプだと

見て取れます。逆にいうと便秘をしたり、体格がよくて顔が赤いような人には原則的に適しません。こういう

方は体内に熱が潜んでいるので、その熱を処理した方が体調改善につながります。その熱が血虚によるもの

なら『四物湯』などを使ったりします。

当帰芍薬散の適用症状

 では本方はどのような症状に使われているのでしょうか。

 肩こり腰痛、腹痛、坐骨神経痛、月経不順、不妊、習慣性流産、安産、浮腫、結膜炎、腎炎、打撲、

水虫疣、シミ、ニキビ、シモヤケ、凍傷、冷え症、更年期障害、ヒステリー、統合失調症、夜尿、

神経痛あたりが適応になりますが、やはり「水滞+血虚」がベースにあるというのが原則になります。

ここを忘れてしまうとただの確率論になりますので、服用中の方は担当の先生に尋ねられてはいかが

でしょうか。もし、あなたの体質を理解した上で当帰芍薬散がよいと判断されている先生なら信用が

できます。しかし本方の効果を説明するだけなら漢方家としてはあまり信用できないように思います

(それだけなら、ネットで調べて暗記しておけば素人でもできます)。

(『金匱要略解説(金子幸夫)』『漢方医学体系(龍野一雄)』『大塚敬節著作集

 『漢方主治症総覧(池田政一)』『薬方愚解(木田一歩)』より)

芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

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