🍵麦門冬湯(ばくもんどうとう)

麦門冬湯

 

 

 『麦門冬湯』は咳を治める作用のある漢方薬です。そのため風邪の中盤以降によく使われます。

 “咳”とはいっても『小青竜湯』の時ような湿った咳ではなく、乾燥した咳で、発作的に発生します。

これを東洋医学の専門用語で「上逆」とか「大逆上気」といい、ノドがパサついて、ヒリヒリ、イガイガ

する感じがあります。熱性の咳なので、風邪であっても寒気などはあまり感じません。

 風邪で発熱し、体内の熱が強いために身体が乾燥しています。肺にも水気がなく、熱気が上ってしまう

ためにのぼせてしまい、同時にノドを乾燥させます。それが強烈な咳となって発症している状態です。

ひどい時はノドに傷が入って、少量の血を伴った血痰を吐いたりします。熱が皮膚を熱するために肌が

乾燥し、布団に入るなどして暖まると咳が出たりします。肺の熱が高まるためです。黄色い粘った痰

しつこく絡みますが、量はさほど多くありません。

 以上のような特徴が『麦門冬湯』の使いどころになります。そして本方は甘味の生薬を多く含むこと

から、消化器系の津液を増やすことで呼吸器系の乾燥を潤すことを目的とした漢方薬だといえます。

つまり「脾胃の津液が不足し、肺が乾燥している」ために咳が出るというのがポイントになります。

 逆にいうと、本方が合う方の場合、下手に身体を暖める施術や漢方を用いると悪化します。これは

身体の中に熱が籠って却って旺盛になるためです。つまり身体が冷えて、暖めた方が調子が良いという

なら、本方には適合しない可能性が高いです。

 似たような効果の漢方薬に『清肺湯』がありますが、こちらには「黄芩」「山梔子」などの熱を処理

する生薬が入っているので、乾燥よりも熱がきつい場合に、私はよく使っています。

(『金匱要略解説(金子幸夫)』『漢方医学体系(龍野一雄)』『大塚敬節著作集

 『漢方主治症総覧(池田政一)』より)

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