『前谷(ぜんこく)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】
【小腸経榮穴。手の第5中手指節関節尺側の遠位陥凹部に取穴する】
正直、あまり使うことがないツボですが、主に「心(シン)」や胃腸の熱を治める作用があります。
心臓は自身が筋肉の塊であり、いつも休むことなく拍動していることから非常に熱を持ちやすい性質が
あります。心臓が熱を持つと動悸や不眠を誘発しますし、精神にも影響が出ます。古典書籍にも心臓の
熱が高くなると病的に興奮してしまい、木に登って意味不明に歌を唄う、なんて書かれています。実際に
こんな人を見ることはまずありませんが、それほどテンションが上がってしまうということです。
お酒を飲んで陽気に歌い散らかす人ならよく見かけますから、まあそんな感じでしょう。
逆に心臓の熱が少なすぎると、原因不明な恐怖や不安を感じるようになります。極端に気が弱くなる
感じで、鍼灸の古典書の『難経(ナンギョウ)』には「鬼を見る」と書かれています。鬼というのは幽霊や
妖怪の類ですから、幻覚を見るということです。それだけ弱気になっているということなのでしょう。
前谷(ゼンコク)の位置
ちょっと位置が分かりにくいので、左の図で確認してみてください。「中手」というのは手の甲の骨の
ことで、その「第5」なので小指のことです。その「尺側」というのは尺骨の側、つまり空手チョップで
使う側です。ちなみに親指側は「撓側(トウソク)」といいます。
「指節関節」というのは指の骨の関節のことで、「中手指節関節」となっていますから、手を握った時の、
ちょうど拳にあたる部分になります。更に「遠位」という指定がありますから、拳の関節からほんの少し前
=指先の方へ行った地点が『前谷』となります。
【主治・効能】
・口熱、心煩(動悸)、喉痺、目翳、舌強
・発汗させればよい。間歇熱、咳嗽、吐血、扁桃腺、耳鳴り、鼻カタル、後頚部~前腕の神経痛、脚気
癲癇、産後の乳汁不足
・発汗させればよい。風邪、熱症、頭痛、扁桃腺、耳鳴り、鼻カタル、咳嗽、吐血、乳汁不足、癲癇
項部疼痛、尺骨神経痛、脚気
・頭項部強痛、耳鳴り、耳聾、衂、眼痛、頬部腫脹、流行性耳下腺炎、マラリア、熱病
乳汁の分泌不足、手指の痺れ
・癲狂、鼻孔の閉塞、頬部炎症、間歇熱、頚肩腕症候群
(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『鍼灸経穴名の解説(高式国)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』
『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』『経穴の使い方鍼の刺し方(鍼灸素霊会)』)
芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】
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