【心経経穴。神門穴の上方1寸5分、尺骨頭上縁の高さに取穴する】
先の『神門』の上方(肘の方)に取穴します。手首の小指側から少し肘側へ上がったところに、
ぷくっと飛び出た骨があると思います。この飛び出た骨を腕のお腹側に下った所の高さになります。
これが左の図のような位置になります。
“経穴(ケイケツ)”は金の属性で、正しくは「経金穴」といい、肺の影響を受けるツボです。心経の流通が
滞ると熱が胸に籠ってしまい、メンタル的な影響が大きく出ます。パニック障害や動悸、鬱、不眠、
胸騒ぎなどの原因になります。こういう精神的に鬱積した感じの症状に対し、経金穴はよく用いられます。
肺は“気”を送り込む作用が強く、肺の影響を受ける「経金穴」である『霊道』も同様の作用がありますので、
鬱積を除き、経絡の運行をスムーズにするわけです。滞ったものを動かすイメージです。
言い方を変えると、発散を促して鬱積したものを散らしてしまうわけですね。そうすることで胸に籠った
熱を処理したり、呼吸で吐き出したりを促します。
つまり各経絡の経金穴は上手に他のツボと組み合わせて使うと、げっぷやおならを誘発させてお腹の張りや
胸の痞え(こういうものを「気滞」といいます)を取り除くことができます。場合によっては利尿を促進
することもあります。こういった反応がでるのがよい鍼の特徴なんです。
このような作用から、経金穴は肩こりや便秘、突っ張るような痛み、神経痛によく効きます。
痞えたもの、鬱積したものを掃除するのに役立つ『霊道』ですが、『神門』と同じく前腕の腹側にあるので、
大変敏感です。鍼を刺すには少々不適なので、やはり刺さない鍼(汎用太鍼や鍉鍼)を使うことが多いです。
刺す必要がある場合は浅く刺します。やはり、痛いのは避けたいですからね。
本穴もは心臓病やヒステリーによく効くとされますが、ご自身でケアするにはあまり適さないツボです。
『少府』や『少衝』で代用されるのがよいと思います。
【主治・効能】
・心臓の動悸、不眠症
・心内膜炎、心臓狭窄痛、急性舌骨筋麻痺・萎縮、肘関節炎、乾嘔、ジフテリア
・心窩部痛、悪心、失音不語、失眠、悲恐、ヒステリー、尺骨神経麻痺、手の痒み、前腕の痙攣痛
・心痛、干嘔、悲恐、瘈瘲、肘攣、暴瘖、諸々の鬱積症
・心内膜炎、心胸狭窄痛、尺骨神経痛・麻痺、乾嘔、頭痛、神経衰弱、ノイローゼ
(『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』
『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』『鍼灸経穴名の解説(高式国)』
『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』)
芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】
“『霊道(れいどう)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】” に対して2件のコメントがあります。