【肺経経金穴。橈骨茎状突起と橈骨動脈の間で、手関節横紋の上1寸】
本穴『経渠』は前回の『太淵』の上方1寸に位置します。厳密には橈骨動脈のやや外側になります
から、脈拍はあまり感じられませんが、およそ医者の方が脉を診る時に触っているのが、本穴あたりに
なります。
経渠は金穴という、肺気の影響を強く受けるツボに分類されます。金穴は停滞した水や血液、気を
動かす作用が強いため、胸に熱が籠っている咳や喘息、風邪をひいたあとのスッキリしない体調、
扁桃腺炎などの気管支や肺の疾患、動悸などによく効きます。滞っているホコリを吹き飛ばして、
流してしまうようなイメージのツボです。
当院では呼吸が浅くなっているような場合や血液循環が悪くなって瘀血となっているようなケースに
よく用います。このような症状は胸郭が動きにくくなっている場合が多く、鎖骨の下や肋骨の下、
鼠径部、胸脇部などが固まって、圧迫するときゅっとした痛みを感じます。『経渠』を用いる時は
これらのポイントも同時に緩めて、胸郭がしっかり上下できるようになれば熱が籠りにくくなって、
咳や動悸も収まりますし、肩や腕のコリ・痛み、五十肩などに効果的です。ここに経渠で気血を動かす
ように処置をすると効率よく改善できるわけです。
他にも気を巡らせる作用の強い『合谷』や経絡のつまりを取り除く『少商』と組み合わせて、咽喉の
腫れや痛みにも対応できます。
【主治・効能】
・熱病や間歇熱を発汗させる、扁桃腺炎、気管支炎、心臓炎、食道痙攣、嘔吐、吃逆、欠気止まず、
胸背痙攣、掌中熱、小児の急性気管支炎
・熱病の発汗、気管支・肺疾患、心臓病、食道痙攣、嘔吐、吃逆、欠伸が止まらない、肋間神経痛、
掌中熱、腕関節炎、小児性気管支炎
・咳嗽、哮喘、咽喉腫痛、腕関節の痛み・無力
・下熱させ、瘀血のシコリを除去する。流れを疎通させる。
胸脹、暴痺、喘咳、気逆、胸背痛、喉痺、掌中熱、鬱熱、汗不出
(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』
『鍼灸集錦(鄭魁山)』『鍼灸経穴名の解説(高式国)』)
芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】
“『経渠(けいきょ)』【西宮・芦屋 鍼灸香春】” に対して4件のコメントがあります。