十全大補湯【西宮・芦屋 鍼灸香春】

十全大補湯

 

 

茯苓・白朮・熟地黄・当帰3.5、芍薬・桂枝・川芎・大棗3、

人参・黄耆2.5、甘草・生姜1

 

 『十全大補湯』はいうなれば疲労回復の漢方薬です。慢性的な疲労倦怠虚弱体質出産や手術後の

貧血状態などによく使われます。体力不足による不妊症にも効果的です。

 本方は以前にご紹介しました『四君子湯』に血虚を補う『四物湯』を合方したものを『八珍湯』

いいます。これに「黄耆」「桂枝」を加えたものが『十全大補湯』となります。

 本方の特徴を紹介している『和剤局方』という宋代の漢方の本には「脾腎気弱」という説明がなされて

います。つまり脾は消化器系ですから、飲食のエネルギーを受けれず、腎に秘められている生命力も枯渇

しているということが示唆されています。「脾腎両虚」という状態なんですが、脾を『四君子湯』で

回復させ、『四物湯』で血を補って腎を扶けるという設計思想のもとに組まれた漢方薬だといえます。

十全大補湯の適用

 本方は「気血の不足」が使用ポイントになりますが、食欲低下、慢性病による疲労、午後の発熱、遺精、

顔色が悪い、足や膝に力が入らない、病後の体力低下、思い悩むことが多い、手足のほてりのぼせ、

腰や背中のだるい痛みめまい聴力減退、多汗、月経不順といった症状のある場合に使います。

 具体的には再生不良性貧血、膠原病、エリテマトーデス、潰瘍、痔瘻、脱肛、白血病、視力低下、乳癌、

子宮癌、抗癌治療の副作用緩和などが適応になります。

 『補中益気湯』に適応する人で、貧血と脱水が加わった場合にも用いられます。

 極度の体力低下がある時体力をつけたい時食べても痩せてしまうような虚弱体質などを目途に

使用するのがよいと思いますが、以前本方を服用すると眠くなるという副作用を訴えた方がおられました。

こういうケースはほとんど見られないのですが、「地黄」が入っているため胃腸機能に不備があると、

このような副作用が出るのかもしれません

(『漢方後世要方解説(矢数道明)』『漢方医学体系(龍野一雄)』『大塚敬節著作集

 『漢方常用処方解説(高山宏世)』『漢方主治症総覧(池田政一)』より)

芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

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