『太淵(たいえん)』【西宮・芦屋 鍼灸香春】

【肺経兪穴。手関節横紋上で橈骨動脈拍動部に取穴する】

 ドラマなどで脉を診るシーンがよくありますが、その時触れられているのがちょうどこの『太淵』や

経渠』あたりになります。この下を通過する橈骨動脈の拍動を診ているわけです。

 「太」という単語は深い、甚だしい、重要なという意味があり、「淵」は池などの水を静かに湛えた所

という意味です。これは五臓六腑の影響を受けた脉が集積する所が『太淵』であるということです。

だから手首で脉を測り、その状態で体調を測ることができるとされています。ここは異論反論の多い所

なので、専門的な話になりますから割愛しますが、少なくとも脈状というものは人間の生理変化と密接に

関係しているのは間違いありませんから、脉診は全くのでたらめというわけではありません。

 本穴は動脈拍動部に取穴しますので、基本的に深く鍼を刺すことはまずありません。刺さずに針先を触れ

させるだけの接触鍼や鍉鍼を使いますし、刺すとしても浅く刺すに留めます。

 本穴は肺やその機能に活力を与える作用があります。咳、感冒、胸痛、胸熱による動悸不眠などに

使われます。ご自身でケアするのは無理ではありませんが、あまり効果が見込めません。寒気を感じるよう

ならお灸を据えるのがよいですが、カイロなどで手首と手のひらを一緒に温めてしまうのがよいでしょう。

 当院では慢性的な咳浅呼吸のような呼吸器系の不全に対してよく使います。咳は胸に溜まった熱を排出

しようとする反射動作なので、肺や肺経に力を与えるよう、本穴を使います。その際、胸郭の動きが悪く

なっているので、一緒に『中府』『膻中』『大包』『淵腋』『章門』『肺兪』『膈兪』などに鍼かお灸かを

施しています。横隔膜が動き、胸郭が広がり、肺がよく機能すれば咳は治まりますし、呼吸も楽になります。

【主治・効能】

・肺や気管支の出血、咳嗽、気胸、心臓萎縮、間歇熱、振寒、発熱不眠、局発痙攣、吃逆、欠気止まず、

 肋間神経痛、前腕前面疼痛、掌中熱、結膜炎、角膜炎、遺尿、失禁、尿色異変

・気管、肺疾患を主る。風邪、振寒発熱、心臓疾患、脈拍異常、肋間神経痛、胸膜炎、吃逆、

 欠伸が止まらない、不眠、結膜炎、角膜炎、その他眼病、尿失禁、遺尿、尿色異変

・無脉症、喘息、咳、咽喉腫痛、胸痛

・胸満、咳嗽、哮喘、肺結核、脉無し病

・肺脹、喘満、狂言、嗌乾、妬乳

(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』

 『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』

 『鍼灸経穴名の解説(高式国)』)

芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

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