🍵温経湯(うんけいとう)
温経湯
麦門冬8、半夏6、呉茱萸3、
当帰・桂枝・川芎・芍薬・阿膠・
ひね生姜・牡丹皮・甘草2
本方は名前に “温” という字があるため「身体を温める漢方です」と説明されることが多いと思います。
たしかにお腹から下は冷えていることが多く、下痢をしたりしますので、半分は正しいといえます。しかし
もう半分の上半身や手のひら、顔面部には少々熱感がみられることが多いです。
これは本方の適応する症状が血虚による冷えと瘀血による熱が直接の原因となって発症しているから
です。『温経湯』はこのような冷えのぼせ症状を目安に使うと間違いが少なくなります。
温経湯の適用
『温経湯』に含まれる「当帰」「川芎」は肝腎を補って暖める作用があり、血液を増やして巡らせます。
「人参」「呉茱萸」は消化器を温めて力をつけ、「麦門冬」「牡丹皮」にて上半身の熱を冷まします。
熱は上半身に上るため、頭痛がして唇が乾燥し、手のひらが火照り(手掌角化症)、場合によっては
乾癬を発症したりします。逆に下半身は冷えるため、下痢や下半身の冷え、凍傷、月経不順、習慣性流産、
不妊の原因となります。このような症状の方に本方は大変有効です。
他にポイントとしては夕方に微熱を発し、お腹が引き攣ったりすることがあります。また、瘀血はあっても
お腹に硬結(癥塊)はないと浅田宗伯という江戸・明治の漢方の大家は記していますが、実際には瘀血塊を
みることは結構多く経験しています。また下腹が部分的にひんやりしていることもよく見受けられます。
これは久寒(キュウカン)という、古い慢性的な冷えです。
本方は以上のような症状の方に適応しますが、あくまで「血虚と瘀血による上半身の熱+半身の冷え」が
ベースにあることが重要になります。
(『金匱要略解説(金子幸夫)』『漢方医学体系(龍野一雄)』『大塚敬節著作集』
『漢方主治症総覧(池田政一)』『薬方愚解(木田一歩)』より)
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