『大敦(だいとん)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】

【肝経井穴。足の第1趾末節骨の爪甲角の外方1分に取穴する】

 東洋医学ではあらゆるものを複数のグループへ分類するのですが、例えば「一年」を上半期と下半期に

分けて、それを陰と陽のグループに分類します。上半期が陽で、下半期が陰になります。4つに分ける

時はご存じの通り「四季」となり、5つに分けると木火土金水の「五行」、6つでは「六気(リッキ)」と

なります。

 わたしたちのような古典鍼灸に基づく治療をする鍼灸師は、身体にある経穴(=ツボ)や経絡を用い

ますが、当然これも五行や六気に分類されます。別の言い方をすれば、一つのモノをいくつかに分類して

いるだけともいえます。

 その意味では、『大敦』は「肝経」のツボにあたりますが、この肝経は五行に分類すると「木」になり、

季節では「春」になります。ちなみに方角なら「東」、色でいうと「青」です。

 東洋思想上では、暦でいう「大寒(1月20日)」を越えたところから徐々に春になってゆき、2月4日に

春が成立して「立春」となります。

 『大敦』はこの春と深い関係にある肝経が始まるところのツボで、この始まりのツボを「井穴(セイケツ)」

といいます。

 春は新芽が長い冬を越えて、芽吹いてくる季節です。人体も同様で、冬の間は縮こまっていた身体や

精神がのびのびと活動を始めます。この時に「肝」や「肝経」が活性化(これを「旺(オウ)」といいます)

するわけです。逆に活性化できないと病になります。つまり春の病は肝や肝経の影響を大きく受けている

のです。その結果、例えば肝経の過緊張や弛緩、感覚麻痺、痛みや圧痛などの変動として現れます。

 このような時は『大敦』を爪で刺激するだけでも、肝経をのびやかに活動させる作用があります。

経絡がつっかえて、流れを悪くしているゴミを掃除して取り除いてしまうのです。

 春先に体調を崩す方は、ぜひご自宅で大敦をマッサージしてみてください

 当院では「汎用太鍼」という刺さない鍼で、つんっと突っついたり、病が頑固な場合は刺絡という、

ちくっとさせて1~2滴出血させる手技を用います。意外なほどに胸やお腹の痞えが取れて、呼吸が

楽になります。

【主治・効能】

・心臓病、寝汗、日射病、急性腸症痛、淋病、尿利頻数、亀頭炎、睾丸炎、陰嚢漏血、婦人陰部疾患

 (膣カタル)、子宮出血、小児遺尿、咬筋麻痺、腹膜炎、泌尿生殖器の症状一般によい

・淋、疝、崩、厥、外生殖器などの諸病、少腹痛、臍中痛、小心、喜寝、屍厥、鼓腸、遺尿

・心臓病、盗汗、日射病、高血圧、脳充血、癲癇、肝疾患、胆石疝痛、尿閉、腸疝痛、腹膜炎

 尿遺頻数、生殖器疾患、眼痛、眼充血、全身痙攣、糖尿

・脱腸、夜尿

(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『鍼灸経穴名の解説(高式国)』

 『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』

 『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』)

    芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

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