『関衝(かんしょう)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】
【三焦経井穴。手の薬指末節骨の爪甲角の内方1分に取穴する】
今回からは「三焦経(サンショウケイ)」のツボを紹介してゆきます。
肝と胆、心と小腸がそれぞれ陰陽のペアとなっていますから、当然心包にもペアがあって、それが
「三焦」です。
三焦というのは、人体の上焦、中焦、下焦のことで、これはそれぞれ上半身、腹部、下半身を指します。
しかしそれでは五臓六腑の定義から外れてしまうため、史上様々な仮説が飛び交い、議論がなされて
きました。とはいえ、統一的結論が得られたわけでもなく、宙ぶらりん状態で現状放置されています。
有力な説としては江戸時代の医師・研究者の内藤希哲が唱える「膜原説」があり、胸膜や腹膜、腸間膜を
指しているのではないか、といわれています。
また、東洋医学一般では三焦は「水道」、つまり全身を水分や体液が通る通路のことだともされている
ため、全身を現す単語の「三焦」を用いて、経絡の名前としたのではないかと思います。
『関衝』は三焦経の端っこにあり、「井穴(セイケツ)」という種類のツボです。井穴は痞えているものを
通じさせるという作用があるので、バネ指のようにうまく指が動かなくなった時や、指に痛みが出た時
などに使います。と同時に扁桃炎や流行性耳下腺炎(おたふく風邪)にも使われます。
これはリンパ液を「水道」の流れと捉えたためだと思われます。たしかに古典文献でも三焦は免疫的に
機能すると読める節があるので、間違いではないでしょう。
このような疾患による痞えや熱を刺絡で数滴ほど血を抜いてしまうと、すっと楽になることができます。
【主治・効能】
・頭痛、咽喉痛、熱病
・口乾、喉痺、胸中気噎、目昏、掌熱、煩満、目翳、臂痛、小児驚厥
・頭痛、角膜薄翳、前腕神経痛、五指疼痛、扁桃腺炎、咽喉カタル、食道狭窄、コレラ
・頭痛、角膜薄翳、耳鳴、眩暈、扁桃炎、咽喉炎、食道狭窄、精神神経症、尺骨神経痛、五指疼痛
・頭痛、眼の充血・かすみ、視神経萎縮、熱病、口乾、腹痛、嘔吐+下痢、心煩、咽喉腫痛
流行性耳下腺炎、中暑、中風、昏迷
(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』
『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』
『鍼灸経穴名の解説(高式国)』)
芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】
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