『内庭(ないてい)』【西宮・芦屋 鍼灸香春】

【胃経滎穴。足背部で足の第2・3趾間、みずかきの後縁に取穴する】

 胃とその経絡上の炎症を抑えるのによく用いるツボです。

 胃経は上半身では顔面にも分布するため、胃腸の熱がその経絡を遡って顔面神経痛、顔面麻痺、鼻血

原因になります。また、胃の熱が食道を上ってノドや口腔内の熱にもなるため、咽頭炎歯肉炎、歯痛、

歯槽膿漏を誘発することがあります。

 本穴『内庭』はこれらの熱を引き下げ、各症状を緩和する効果があります。

 他にも胃痛食中毒、腹脹などにも使えます。食中毒は本穴よりも、ほぼ真裏にある『裏内庭』の方が

有効といわれます。お灸をするんですが、熱く感じるまで、もしくは熱さを感じなくなるまで据えます

 足の第2・3趾の間、つまり足趾の “股” の部分にある “みずかき” と足部の移行部にある、というのが

教科書的な取穴位置ですが、臨床的には、ほとんどの場合、足趾の股で圧迫して痛む所に取穴します。

 足背部の痛みや下腿の前面についている前脛骨筋や腓骨ラインの痛み、食あたり、胃痛などで使います

が、お灸が必要なのであまり自宅ケアには向きません。

 下痢止めにも優秀なツボで、『中脘』『関元』と併用します。ただこれもやはりお灸で施術するので、

このような疾患でお悩みの場合は、お近くの鍼灸院をお訪ねください。

 

 【当院の経験】

 大阪の鍼灸院で勤め人をしている時、胃がムカムカして重いという主訴の方がおられました。こういう

時は必殺の『中脘』『足三里がよく効くんですが、この時は不発でした。どうしたものかと考えた結果、

胃に熱が集積している症状なので、『裏内庭』に熱く感じるまで施灸してお帰り頂きました。

 後日、再度来院された際に伺ってみたところ、その日の夜にはムカムカ感がかなり収まっていた

とのことで喜んでいただけました。

 ただ、それでは炎症を治める効果のあるという足三里はなぜ効かなかったのでしょうか。熱症状にも

分類があり、それに応じて合穴がよいのか、滎穴がよいのかの区別があるのかもしれません。

 

 【主治・効能】

・間歇熱・腸チフス+四肢厥冷する者に発汗させて治する。三叉神経痛、顔面神経麻痺、鼻血、上歯齦炎、

 あくびが止まらない、咽頭カタル、脚気

・下熱させるため本穴で発汗させる。三叉神経痛、顔面神経麻痺、鼻血、上歯歯齦炎、あくびが止まらない、

 咽頭カタル、食中毒、蕁麻疹、慢性胃炎、血尿、淋疾、脚気、腓骨神経麻痺

・歯痛、胃痛、扁桃腺炎

・心窩部痛、腹脹、下痢便秘、虫垂炎、歯痛、歯齦腫脹、顔面神経麻痺、鼻血、喉頭結核、

 足背の発赤・腫脹・疼痛

・頭部、腹部の疾患に用いる

・胃の上部の痛み、腹中雷鳴のある下痢、面部の胃経の痛み

 

(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』

 『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』

 『鍼灸経穴名の解説(高式国)』『経穴の使い方・鍼の刺し方(鍼灸素霊会)』)

芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

 

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