『通里(つうり)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】

【心経。前腕内側。手関節掌側横紋の上方1寸、尺側手根屈筋腱の橈側縁に取穴する】
前回ご紹介しました『陰郄』より肘側に5分遡った所に『通里』はあります。
本穴は不眠や動悸、失語症、赤面して無汗、ヒステリーなどの疾患を主治しますが、全て心因性である
ことを条件に用います。また、尺側(小指側)のツボでもあるため、尺骨神経のトラブルにも効果的です。
心臓や胸の熱が渋滞抑鬱したような症状が対象となるため、その熱を取り除くように刺鍼するわけです。
この場合、通常は「瀉法」という、経絡上に鍼を刺して穴を開け、熱を漏らすように施術しますが、「心」は
五臓六腑の王様ですから、そのような無礼は働けません。その為、「補法」で失礼のないように取り扱います。
これを東洋医学の病理的に解釈すると、「心経」は「腎」からの陰気を多く受ける経絡であるため、これを
瀉してしまうと却って「心」の熱が高まってしまうので、反対に補うのがよいという理屈になります。


ちょっと落ち着いたかな、という印象でしたが、一通りの施術が終了してから、再度脉を診るとかなり
安定した脉状だったので、この時はこれでよしとしました。
1週間後には不整脈はリズムが少し乱れる程度にまで回復しており、2週後にはほぼなくなっていました。
鍼だけの効果で不整脈が改善したのかというとこれは流石に疑問があります。鍼灸院に来院したことで
精神的に落ち着いたというプラセボ的な効果もあったと思います。ただ、改善の転機の1つになれていた
のなら喜ばしいと思った一例でした。

(『鍼灸経穴名の解説(高式国)』『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』
『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』
『経穴の使い方・鍼の刺し方(鍼灸素霊会)』)
芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】


