『頷厭(がんえん)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】

【胆経。頭部。頭維と曲鬢を結ぶ曲線上、頭維から1/4の点に取穴する】
今回は深く刺すと耳聾を引き起こすという点などは『懸顱』ともよく似ています。三叉神経痛や顔面麻痺
にも使用できるなど、相違点もありますが、主治症にも類似点が多く見られる『頷厭』です。
わたしにとって、本穴やすぐ上にある『頭維』は結構思い入れのあるツボで、イライラしたり、鬱的傾向が
あるような、熱が頭に昇って籠っているタイプの方によく用います。
熱が頭に籠るというのは結構厄介で、脳の情報処理機能などにバグが出てしまうためか、突発的な怒りや
意味不明な言動を誘発したりします。こうした「頭熱」状態は、精神的に問題のあるケースのみならず、
知的労働を好む人やゲームを長時間楽しむ人にもよく見られます。良くも悪くも頭をよく使って、脳に
過度な情報処理の負荷をかけている方に多く見られるのです。パソコンやスマホを多用する現代病の一つ
なのでしょう。

加えて外気温も関係します。熱中症で脳の体温検知機能が正常に動かない時に、熱が強いにもかかわらず、
寒気を感じるというのも、同様の脳の機能異常ですから、これも「熱が籠っている状態」に該当します。
このような時、頭に手を当てると、表面的な熱さではなく、湯気が立ち上ってくるような熱感を感じる
ことができます。これを当院では脳の過労だと考えて、『頷厭』に少し太めの鍼を1㎝ほど刺入しています。
他にも『承光』などにも同様の施術をして、暫く置鍼しておき、あとでぽんっと抜くと頭がすっきりします。
同時に『太陽穴』にも置鍼しておくと、眼の血液循環が改善されて、眼精疲労の回復に役立ちます。
刺絡で数滴の出血をさせるのもよい方法でしょう。

これらの方法は、徳島の篠原新作先生に教えて頂いた技術をアレンジして使っているのですが、「頭熱」が
効果的に落ち着いてリラックスできるため、患者の方から施術を指定していただくこともあるほどです。
イライラが強い人の場合であれば、首や肩が固まって動かなくなっていることが多くあります。本穴で
「頭熱」を引き下げる一方で、首肩の可動域改善をしておくと、イライラは驚くほど小さくなります。
先述の篠原先生は水枕を使って物理的に熱を冷ましてしまうそうです。
方法は多々ありますが、頭熱の処置は要の一つだと考えて、施術のプログラムを組むようにしています。

(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』 『鍼灸集錦(鄭魁山)』)
芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】



