
【三焦経。肩周部。肩甲骨上角の上方陥凹部に取穴する】
『天髎』は肩甲骨の内側沿い、その上辺の角あたりに取ります。効果としては前回の『肩髎』と同じく、
よく肩こりや首コリに用いられます。ただ、『肩髎』が棘下筋、三角筋を起点とした五十肩や肩こりに
効果的であるのに対し、『天髎』は首から肩甲骨の内側上端に走行する肩甲挙筋や僧帽筋などに由来する
ケースで効果を発揮します。どの筋肉も肩を動かす時に作用するのですが、それぞれ微妙に担当する
動きが異なっています。つまり、同じ五十肩で、同じ五十肩のツボでも、原因によってどのツボを用いる
べきかは違ってくるのです。

以上は解剖的な側面からの説明になりますが、経絡についても同じことがいえます。東洋医学には
「開・闔・枢」という考え方があります。
「開」は展開する、放出するの意味で太陽、太陰が主ります。
「闔」は収斂する、閉じるの意味で陽明、厥陰が主ります。
「枢」はその中間で、扉でいう蝶番の役目を担い、少陽、少陰が主ります。

この理屈を臨床に応用する時、腕が曲がって伸びないのは「開」の作用がおかしいのですが、同時に
「枢」の少陽にも施術します。それが三焦経です。逆に伸びて曲がらないなら「闔」と「枢」の少陰に問題
があるとして、腎経を用います。
以上のようなことも考慮して、古典鍼灸は施術方針を決定しています。

【主治・効能】
・肩重不挙、胸中熱満、頚項引痛などを治す
・耳中疾患、胸鎖乳突筋や僧帽筋の痙攣、後頭神経痛、肩甲部の麻痺を治す。
積聚が胸下に上衝して人事不省に陥る場合によい。
鍼を誤って陥凹部へ刺入すると、五蔵の気を傷り、人事不省に陥る。
・頭痛、高血圧、中風、後頭神経痛、頚肩腕症候群、ムチウチ、寝違え、五十肩
上肢神経痛、耳鳴り、耳痛、眼充血、鼻詰まり、人事不省、五労七傷
・頚項部の強張り・痛み、胸中煩満、肩腕痠痛など
・首、肩こり。頚のつけ根のコリによい。高血圧
(『鍼灸経穴名の解説(高式国)』『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』
『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』
『経穴の使い方・鍼の刺し方(鍼灸素霊会)』)
芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】