『肩髎(けんりょう)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】

 【三焦経。肩周囲部。肩峰角~上腕骨大結節の間の陥凹部に取穴する】

 五十肩によく使われる『肩髎』ですが、上地栄先生によると、鍼の刺し方にコツがあるようで、

力こぶあたりを自分の鼻にあてるように腕を挙上して上腕骨沿いに肩甲骨へ向けて刺鍼するそうです。

 また、愛媛の池田政一先生は肩関節内へ入れる気持ちで刺鍼すると解説されています。

 どちらも名人と名高い先生なので、両説に甲乙はつけ難いのでしょうが、ツボの位置からして三角筋、

棘下筋といった、腕を挙上する際に用いる筋肉を、挙上位で刺鍼する方が経験的によく効くように思います。

 

 【当院での経験】

 勿論五十肩肩こりの場合によく使うんですが、頚肩腕症候群寝違え、首の痛みなどにも効果的です。

 しつこい肩こり、首こり巻き肩由来というケースが多々見受けられます。スマホやパソコン作業、料理

など細かく手を使う動作が原因で巻き肩になることが多いのですが、これは二頭筋、小胸筋、烏口腕筋が

緊張して肩甲骨の烏口突起を引き出してしまっているのが一因です。他に広背筋の緊張で上腕骨が上内方へ

転移することでも巻き肩になります。

 この際、肩甲骨が外方へ移動してしまうため、肩甲挙筋や僧帽筋、菱形筋をけん引して首のつけ根から

肩甲骨の内側に重ダルみを感じることがあり、これが首コリ、肩こりの原因の一つと考えられます。

 以前当院に来られた方で、異常に肩が緊張しているのに、頭痛があまりに辛いため肩こりを全く意識して

いない方がおられました。問診脈診から少陽経の過緊張だろうと判断して、陰谷』『曲泉』『足臨泣

陽陵泉などを施術しました。脉が落ち着いたところで『中府』『尺沢』『外関』『手三里』などを刺鍼

して、『天柱』『天宗を主として背部に置鍼し、指圧で緩めておきました。しかし思ったほどには改善が

見られませんでした。

 そこで、直接的に肩甲骨の周囲を弛めるという、力技に方針転換して、『肩髎』を上地栄先生の方法で

用いてみました。先生は1寸6分(5㎝)の鍼でよいとしているのですが、私は経験上2寸(6㎝)の鍼の

方が、特にガチガチに固まっているタイプの方にはよく効いていたので、『肩髎』から棘下筋までを横刺

しました。結論からいうと、巻き肩の程度が少し改善され、頭痛の頻度と程度が半分程度になったそうです。

 この際、細かいテクニックとして、消濼』『清冷淵といった上腕三頭筋のツボと、腋窩の極泉から

肩関節を狙うように刺鍼して補助としました。これは大阪の名鍼灸師・辻本政治先生に教えて頂いた方法が

元になっています。

 辻本先生には内太腿の緊張(内転筋)の対処の仕方として、一緒に外側にも刺鍼することを教えて頂いて

いたのですが、肩でも腕でも下腿でも同じことがいえる筈だと試してみたら思わぬ効果があったわけです。

経絡が陰陽でペアになって表裏に配置されているのは、こうした意味なのかもしれません。

 ちなみに、以前は効果がないと思っていた坐骨神経痛足三里という配穴がやり方次第で著効がある

と分かりました。太ももの裏に走る痛みや痺れが前脛骨筋への施術で改善できたのは、大きな発見でした。

 

 【主治・効能】

・肘が痛み、肩が重く、腕が上がらない症状によい

・肩甲筋の痙攣・麻痺、上膊神経痛、上肢挙上不能、肋膜炎、胸中熱などを治す

五十肩、上肢神経痛、頚肩腕症候群、ムチウチ、寝違え、半身不随、歯痛、頭痛、肩関節炎

・肩の痛み

・肩関節炎、上腕痛+挙上困難、中風、半身不随など

五十肩臑兪、肩髃、雲門あたりを刺鍼し、それでも残る痛みに使用する

(『鍼灸経穴名の解説(高式国)』『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』

 『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』

 『鍼灸集錦(鄭魁山)』『経穴の使い方・鍼の刺し方(鍼灸素霊会)』)

芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

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