『肩貞(けんてい)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】

【肩関節の後下方、腋窩横紋後端の上方1寸に取穴する】

 五十肩でよく使われる『肩貞』は、肩頚部の疾患全般に欠かせないツボです。

 本穴には東洋医学的な作用が極めて少なく、解剖学的な効用がよく取り上げられます。

代表的な所は五十肩、肘関節炎、上肢神経麻痺などですが、脳充血高血圧にも効果があるとされます。

 本穴の周囲には三角筋や小円筋、棘下筋などがあり、肩甲骨の動きに関与します。小円筋や棘下筋が

正常に機能していれば巻き肩などを矯正してくれるのですが、パソコン作業やスマホいじりなどの作業が

多いと、上腕がこれらの筋肉を引っ張って肩甲骨が外転するため、却って巻き肩が悪化してしまいます。

 この状態は、極端にいうとちょうど肩を竦めたような恰好で、頚部や鎖骨下動脈を圧迫してしまうため、

流れの悪くなった血液が行き場を失って高血圧脳充血の原因ともなります。耳鳴り難聴拍動性頭痛

不眠興奮などにも大きく影響することがあります。

 『肩貞』は小円筋、棘下筋などにアプローチできるツボですから、肩甲骨の位置異常を緩和することが

できるため、結果的に高血圧などに効果があるといえるのです。

 無論、『肩貞』だけではなく、巻き肩そのものの処置や肩甲骨へのアプローチも必要になりますが、

生活改善も含め、頚肩部症状改善の大いに有効な一穴となります。

 

【当院での経験】

 『肩貞』の少し上に臑兪というツボがありますが、この二穴のあたりが肩こり五十肩の方では

大いに緊張しています。私の場合は指圧で緩めることもありますが、凝り方が強度の場合は、やはり鍼を

用います。それも5㎝~6㎝程の長さのものを棘下筋を貫通するように刺鍼します。やや強めの響きを

感じますが、五十肩でも特にベルトを通せないようなケースでは、よい効果が得られます。

 あと、『肩貞』の裏側から臑兪の裏側へ向けて、ゆっくり静かに刺鍼して暫くとどめ置くという

やり方がありますが、これはひどい肩こりに用いると結構楽になります。

 

【主治・効能】

・寒熱風痱、肩中熱痛、手足痺れ、筋攣、肩臂不挙、傷寒頷腫、腕運動困難

・発汗させるとよい。熱病後の余熱、脳充血、肩臂の関節炎、四肢神経麻痺

・熱病後の余熱、脳充血、高血圧、肋間神経痛、五十肩、肘関節炎、上肢の神経痛・麻痺

・肩・腕の痛み

肩甲部の痠痛、上肢の腫痛・麻痺・不随など

(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』

 『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』

 『鍼灸経穴名の解説(高式国)』)

芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

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