『支正(しせい)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】

 【小腸経。前腕後内側。手関節背側横紋の上方5寸で、尺骨内縁と尺側手根屈筋の間に取穴する】

 本穴は「絡穴(ラッケツ)」という役職を頂くツボです。

 「絡穴」には様々な解釈がありますが、一般に表裏の二経絡を連絡する経路、またはバイパス的な役割を

果たすとされています。つまり、小腸経と心経の連絡路になっているということです。

 そのためか、陽谷養老にはない、癲癇精神の病にも効果があるとされています。小腸経の

ツボなのに脳や精神、神経にまで効果を及ぼすのは絡穴の特性といえます。

 また、足三里などと併用して「消渇(ショウカチ)」にも有効であるといわれています。「消渇」とは、

今の医学でいう所の糖尿病に当ります。

 東洋医学的には「消渇」は胃腸の熱ですから、その意味で胃の下合穴である足三里や募穴の『中脘』

に併せて本穴を用います。わたしは補助的に労宮へ知熱灸を施したりもします。これらの配穴は

リウマチなどにも応用ができるのですが、ではどの程度効果があるのかというと、良くも悪くも症状緩和

ができる程度というのが現実です。名人がやれば治癒にまで至るのかもしれませんが、わたしの技術では

治癒は無理でした。

 

 【本穴の取り方】

 本穴は肘を立てた状態で、陽谷小海を結んだライン上で、尺骨の内側に取穴します。

適応がある場合は、ピリッとした圧痛があります。位置的には尺側手根屈筋という筋肉が走行している

のですが、肘の内側の筋肉が緊張する時は、大体胸を閉じているような時ですから、胸に熱が籠りやすく、

それが心的ストレスを助長したり、動悸の原因となったりします。その為、本穴で肘を緩めて胸を開く

ように調整するのです。

 当院では、『支正』から小海あたり一帯までをマッサージしたりもします。これに加えて上腕の

二頭筋、三頭筋、烏口腕筋などを緩めると巻き肩、ストレートネック、猫背治療のベースが形成できます。

以上の腕部の筋肉は肘を曲げ、脇を締め、前腕を回内する共同作業を行いますと、ちょうど幽霊がする

「恨めしや」のポーズになります。首を竦め、肩を縮込めるので首から肩の血流を悪化させるのです。

胸郭出口症候群、肩こり、首こり、頚椎症などでもこれらの施術は外せません。

 

 【主治・効能】

・手の痙攣、頚痛、癲狂、眩暈など

・熱病、四肢無力、慢性感冒+発斑・熱・頭痛・顔面充血、ヒステリー性上膊神経痛

 前膊痙攣+肘の伸屈不能・指痛、疣

・熱病、四肢無力、慢性感冒、発疹熱、頭痛、脳充血、高血圧、顔面充血、不眠、眼充血、ヒステリー

 面疔、咳嗽、頚肩腕症候群、五十肩、尺骨神経痛・麻痺、書痙、四肢疼痛

・手指の痛み、前腕痛

・頭痛、頚項部の強張り目眩、消渇、癲狂、精神病、尺骨神経麻痺、前腕痛、肘部痙攣、手指痠痛など

(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』

 『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』

 『鍼灸経穴名の解説(高式国)』)

芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

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