
【胆経。頭部。乳様突起の後上方に取穴する】
乳様突起というのは耳たぶの内側に隠れるようにある骨の突起のことで、その後上方ですから、
だいたい耳の穴と同じ高さくらいになります。
耳の疾患(耳鳴りや難聴など)によく使われるツボで、「腎」に通じるため『竅陰』と名付け
られました。「竅」は穴、孔などを意味し、「陰」は五臓の内、特に陰の要素が強い「腎」を示唆
するので、必然的に腎が主る耳の疾患に用いられるというわけです。
同じ胆経には『足竅陰』という同名のツボがありますので、ご参考ください。

耳の周囲にある本穴は耳の疾患によく効きます。そのため鍼灸施術でもよく用いられますが、
耳鳴りや難聴のセルフケアとして、耳の前にある『耳門』『聴宮』、直上の『率谷』、後方にある
『完骨』『翳風』などを優しくマッサージするのもよい方法です。耳を緩く引っ張るのも効果的です。
ただし、これらのツボは耳鳴りなどを一過性に悪化させることがあります。耳鳴りが却ってひどく
なるようなら中止してください。

【主治・効能】
・中耳炎(慢性)
・耳鳴、目脹、舌強出血、口苦、喉痺、咳逆などを治する
・癰疽、骨膜炎、脳膜炎、脳充血、三叉神経痛、扁桃腺炎、肋膜炎、口中苦味、欬逆、四肢の神経痙攣
・耳疾患、脳充血、脳膜炎、頭痛、偏頭痛、頚項部疼痛、眼疾患、口中苦味
扁桃炎、胸膜炎、咳嗽、四肢神経痙攣
・頭痛、頚項部の強張り、眼痛、耳鳴り、耳聾、咽喉腫痛、中耳炎など
(『鍼灸経穴名の解説(高式国)』『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』
『鍼灸集錦(鄭魁山)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』
『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』)
芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】