『目窓(もくそう)』 【芦屋・西宮 鍼灸香春】

 【胆経。頭部。前髪際から1寸5分。瞳孔線上に取穴する】

 前回紹介させていただいた正営より1寸上方にあるのが『目窓』です。字面の通り眼の疾患に

よく効くとされ、窓を開けた時のように光が差し込み、明るく感じることができるという意味だそうです。

二千年前はガラス窓なんてありませんから、スダレ状の窓や木製の窓だったため、窓を閉じると相当部屋が

暗かったのでしょう。その暗い部屋に光が差し込むほど眼が明るく感じるというツボが本穴です。

 胆経は頭から足先まで分布する経絡ですから、逆に下半身の陽気が頭へ上りやすい経絡でもあります。

普段であれば、胆経の陽気は適度に発散され、再び下半身へ循環するのですが、不調があると発散が上手く

できず、胆経上に停滞してしまいます。こうして滞った陽気は熱を持ち、或いは炎症を引き起こし、或いは

疼痛を発症し、或いは筋肉を過緊張させます。その好発部が肩や首で、肩コリや首コリ、側頭部頭痛、

耳鳴りメマイなどの主原因の一つになっています。

 そしてこの胆経は眼にも分布していますから、熱がのぼせて眼にまで到達すると、目の痛みや乾き、

充血などを引き起こします。この時、停滞する胆経の陽気が溢れ出るのが『目窓』だと思われます。

 

 【当院での経験】

 私の場合、眼の疾患のケースは勿論ですが、肩・首コリメマイ耳鳴りにも用いています。

これらの疾患は胆経の不調によるケースが多いため、渋滞を起こしている陽気を抜き、胆経の循環を促す

目的でよく使います。胆経上に穴を開けて体外への道を作り、発散を促すというイメージです。本来想定

される効果ではありませんが、補助穴として用いると、主要穴の効果を底上げしてくれます。そのため、

これといった効果は感じにくいですが、目立たないけど確かに役立つ、いぶし銀のツボで重宝しています。

 

 【主治・効能】

『承光』『本神』『臨泣』『正営などと共に眼に関する病を治す。目赤、緑内障、白膜覆瞳子など

熱病の頭痛↑、感冒、鼻腔閉塞、耳聾眩暈、眼病、眼球頭痛、歯痛↑

・眼疾患。頭痛、偏頭痛、眩暈、眼病、鼻疾患、鼻汁↑、耳聾、歯痛↑、神経衰弱、眼球疼痛

・清熱散風。頭痛、眩暈、顔面浮腫、目赤痒痛、鼻塞、暴盲、視神経萎縮、近視など

(『鍼灸経穴名の解説(高式国)』『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』

 『鍼灸集錦(鄭魁山)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』)

芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

 

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