『正営(しょうえい)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】

 【胆経。頭部。前髪際から2寸5分。瞳孔線上に取穴する】

 鍼灸学校では「しょうえい」と読ませますが、昔のツボの本をよんでいると「せいえい」になって

いたりします。ここでは教科書に倣って「しょうえい」と読んでいますが、元々中国語を訳したもの

ですから、まあどちらでもよいのだと思われます。

 本穴は脳の疾患によく効くとされてはいますが、これは精神神経症の事だと思われます。胆経は特に

自律神経の症状やその反応が現れやすく、またその主治穴となることが多く、『正営』も精神の病の反応が

よく現れます。具体的には本穴周囲の筋の緊張が強くなっていたり、水っぽくブヨブヨしていたりします。

 

 【当院での経験】

 以上のような時に私も本穴を使うのですが、以前診ていた不眠症の方で側頭部あたりが異常に

熱っぽい方がおられました。不眠である以上に言動に不自然な点が多かったため、精神的に煮詰まっている

のだろうと『頭維』『正営』『角孫』に水平刺、崑崙にも置鍼をして、本治法だけして終わりました。

 帰る際には「頭がすっきりした」といっておられたのですが、精神的な動揺も強かったので、万一を

考えて心療内科をお勧めしておきました。その後半年ほど通院され、督脈上にお灸をしたりとしている

うちに言動が落ち着き、眼元も穏やかになったので治療を終了しました。

 不眠だからといって不眠のツボや治療をしていても効果のないことは多々あります。この方の場合は

精神的に煮詰まっていることが病の本質だったわけです。治ったのは心療内科さんのおかげだったのかも

しれませんが、私には特に印象的な一件でした。

 

 【主治・効能】

・脳に関する病を治す。頭項偏痛、目不明などによい

・熱病の頭痛↑、感冒、鼻腔閉塞、耳聾眩暈、眼病、偏頭痛

・精神神経症。頭痛、片頭痛、眩暈、眼病、鼻疾患、耳聾、歯痛、三叉神経痛

・頭痛、頚項部の強張り、眩暈、嘔吐、歯痛、口唇痙攣など

(『鍼灸経穴名の解説(高式国)』『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』

 『鍼灸集錦(鄭魁山)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』)

芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

 

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