『肩井(けんせい)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】

 【胆経。C7棘突起と肩峰外縁の中点に取穴する】

 今回は肩こりのツボとして有名な『肩井』です。

 位置的に見て肩こり五十肩に効きそうですし、確かに効果がありますが、別に肩こりにしか効かない

というわけではありません。というのも、東洋医学的に本穴は気を下げる効果があるとされ、高血圧

脳充血、眼充血、動悸など、熱が停滞することで発症してしまう症状に有効です。

 このような作用を利用して、昔は難産の妊婦に応用するという方法もありました。また、逆にいえば

意図せず流産を引き起こす可能性もあるということですから、妊婦に対しては禁鍼穴という扱いに

なっていることもあります。

 ただ、鍼灸学生時代に講演に来られた女性老鍼灸師の先生に伺った所、先生の若かった頃には堕胎の

鍼灸施術をすることもあったそうです。その時用いたのが『肩井』『三陰交』などだったのですが、

患者が痛みで喚き散らすほどに荒々しく雀啄(雀がエサを啄むように連続で鍼をストロークする手技)

するそうです。多少刺鍼したり、施灸したりする程度では、影響はないとのことでした。

 最近では患者の方も本穴が流産を促すツボだと知っている方も多くなっているので、わざわざ妊婦や

不妊治療中の方に使って不安を感じさせる必要はありませんから、当院でも使わないようにしています。

 

 【当院での経験】

 私が『肩井』を用いる時は、教科書通りにツボを取ることもありますが、多くの場合は正位置より

もう少し前から、僧帽筋を狙うようにして細い鍼で刺鍼します。これは関西漢法苞徳之会で学術部長を

務める利川鉄漢先生に教えて頂いた方法で、筋肉の表側ではなく裏側から狙うというテクニックです。

これは様々な局面で応用が利く手技で、頚肩こり五十肩の方に用いて、劇的に頚や肩の力みが抜ける

ので、施術効果を高める効果があります。

 ただ、効果の高いツボである反面、気を引き下げ過ぎてしまうと貧血を誘発することもあります。

座位や伏臥位で刺鍼していればまず安全なのですが、勤めている時は横着して失敗したことも何度か

ありました。こうした “鍼あたり” は足三里で回復させることができるとされていて、これを

“返し鍼” といいます…が、あまり効きませんでした。やり方が悪いのかもしれません。最近はもう

滅多にありませんが、糖分は脳貧血は速やかに回復させますから、いつも塩飴を用意しています。

 

 【主治・効能】

・頭痛を伴う肩凝りや疲れからの肩こりによい。高血圧、筋炎

・風症によい。中風、痰喘、頭痛、臂痛、労傷、気逆など

・脳神経衰弱、ヒステリ―、副神経麻痺、頚項筋痙攣・萎縮にて回顧↓、肩背疼痛、腎虚、腰痛

 扁桃腺炎、咳逆、脚気衝心、産後の脳貧血、子宮出血、堕胎後の四肢厥冷など

・脳充血、高血圧、脳貧血、頭痛、癲癇、神経衰弱、ノイローゼ、眼充血、蓄膿、歯痛、ムチウチ

 頚肩腕症候群、寝違え、五十肩、早打肩、上肢神経痛、心悸亢進、喘息、咳嗽、扁桃炎、脚気衝心

 産後貧血、子宮出血、胎衣下らず、堕胎後の四肢厥冷肩背部疼痛

肩背痛、乳汁過少、乳腺炎、難産

・中風で言葉が出ない、頚項強ばり・痛み、落枕、肩背痠痛、上肢の痠痛・麻痺、胸満、瘰癧

 肩関節周囲炎、難産、後産困難、乳腺炎など

 

『慢性病の漢方・鍼灸療法(藤平健)鍼灸経穴名の解説(高式国)』

 『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』

 『鍼灸集錦(鄭魁山)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』)

芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

 

芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【はり灸専門】

芦屋市大原町の鍼灸院。JR芦屋駅より徒歩6分。東洋医学(鍼灸、漢方)で、首コリ、肩コリ、五十肩、腰痛、ぎっくり腰、膝痛、季節の不調、自律神経失調症、頭痛、耳鳴、めまい、鬱、不眠などに対応します。芦屋、西宮、東灘、灘区、神戸、宝塚などで鍼灸院をお探しの方へ。

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