『陽交(ようこう)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】

 【胆経絡穴。下腿外側。外果尖の上方7寸。腓骨の後方】

 前回の外丘の少し後ろにあるのが本穴『陽交』です。左の図では『陽交』が前で『外丘』が後ろに

なっています。ただ、これは確かに別説では紹介されていますが、古典書籍の『和漢三才図絵』

『十四経発揮和語総鈔』などを参照するに、教科書的には間違いになります。

 本穴は足に流れる3つの陽経経絡(胃経、膀胱経、胆経)と奇経の陽維脉が交流するツボということで

「陽交」の名を戴いています。その意味では足の6経絡が交流する地五会に似ています。胆経は少陽に

属しますから、少陽の「半外半裏」という性質のため、経絡の中心になりやすいのかもしれません。

 

 【陽交の効用】

 本穴の効用で面白いのは、胸満気管支炎、肋膜炎に効果があるという点でしょう。胆経は側胸部を

通過しますから(左の図の青いラインが胆経です)、胸の患いにも有効だというのは理解できますが、

なぜ『陽交』なのか。明確な理由は不明ですが、奇経が関係していると思われます。奇経は本経に熱が

過剰になって循環不全に陥りそうな時に、バイパスのように機能する経絡ですから、胸部の熱が過剰に

なった時に『陽交』で陽気(熱)を陽維脉へ誘導してコントロールするのではないかと推測されます。

また、胆経がよく機能していると、胸郭の動きがよくなりますから、浅呼吸にも効果的だと思われます。

呼吸が深くなれば胸に籠った熱を排出できるというわけです。

 

 【当院での経験】

 以上のことから、本穴は胸部の呼吸や血液の循環不全に効果的なのではないかと推測して、胸に熱が

溜まるような高血圧、呼吸障害、不眠動悸、精神不安ノイローゼ、便秘、面部の浮腫みなどに使える

と判断しているのですが、このような場合は同じ胆経の『淵腋』『輒筋』や脾経の『大包』を優先して

使っています。他に肺経の『中府』『雲門』、徳島の大上勝行先生に教えて頂いた肝経章門なども

よく効きます。わざわざ『陽交』まで使う機会は少ないのが現状です。

 

 【主治・効能】

・寒熱痺、噤、驚、癲、瘈瘲を治す。膝、足の病に効果有

気管支炎肋膜炎に誘導効果。顔面浮腫、下肢水腫、脛骨・腓骨神経痛・麻痺、精神病、ヒステリー

坐骨神経痛、脚気、半身不随、膝関節炎、気管支炎、胸膜炎、肋間神経痛、胆石疝痛、偏頭痛

 顔面浮腫、ノイローゼ、精神神経症

胸満、脇痛、顔面浮腫、坐骨神経痛、下肢痠痛、半身不随

 

(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』

 『鍼灸集錦(鄭魁山)』 『鍼灸経穴名の解説(高式国)』)

芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

 

芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【はり灸専門】

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