🍵三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
三黄瀉心湯
大黄(苦寒)、黄芩(苦平)、黄連(苦寒)
【三黄瀉心湯の病理】
上半身全般に熱がある症状に用いられます。そのため、動悸、ノドや口の渇き、肩こりなどの症状にも
有効です。熱が頭にまで侵入すると、逆上せを発症し、頭痛、めまい、耳鳴りの原因となり、ひどい場合は
癲癇(テンカン)や精神不安、ノイローゼ、統合失調症をも誘発します。このような症状に『三黄瀉心湯』
は用いられますが、熱が上半身へ上る原因が便秘にある場合にこそ有効な漢方薬です。
便秘があるため熱が降らず、上部へと充満してしまっている状態です。腎陰虚などがベースにあり、
その虚熱が少陰経を通じて心、心包の熱となっているのに加えて、腎の水が足りていないために陽明の熱
となって、胃腸を乾燥させています。そのため、イライラや興奮、独り言、多言などの特徴があり、発散
されない熱が蕁麻疹や口内炎、口臭の原因となっていたりします。
「陽明の熱による便秘と心熱による高血圧」があるのが特徴であり、不用意に便秘下しとして使うと、
【当院での経験】
7月頃に熱中症でめまいを起こしたという方が、病院で『苓桂朮甘湯』という漢方薬をもらったけれど、
あまり効果がないとのことで来院されました。
よく話を伺ってみると高血圧で、慢性便秘、不眠、不整脈もあるという方で、仕事の都合上、トイレに
行けないらしく、よく汗をかくのに水分は控えめにしているとのことでした。
どうも『苓桂朮甘湯』は適合しているようには思えなかったので『三黄瀉心湯』を指導して、便秘を
下すことを主眼に置いて施術しました。よく働いて、汗もかくわけですから、腎水の涸渇がまずあって、
そのための少陰経の熱と血虚虚熱が動悸、便秘、高血圧の原因となっているのだろうと推測できました。
ただ、いかに鍼灸施術や漢方処方が適切であっても、本質的に水分が足りていないと、無から有を
生み出すことはできないので、施術効率は上がりません。食事指導とこまめな水分補給をお願いして、
約1か月後には高血圧、不眠、めまいは安定できました。特に便秘は腎経の『陰谷』がよく効いた
ようで、やはり便秘が下ると一緒に上半身の熱も下り、血圧、睡眠、めまいも並行して改善しました。
約1ヵ月の施術で各症状は安定できたのですが、便秘だけは水分補給を怠って発汗がかさむと、再度
発症したりします。高血圧や動悸、めまいはとりあえず改善したため、現在は『三黄瀉心湯』を中止
して、『調胃承気湯』と『四物湯』に変方して現在も治療中です。
(『漢方医学体系(龍野一雄)』『漢方常用処方解説(高山宏世)』
『中医臨床のための方剤学(神戸中医学研究会)』『漢方主治症総覧(池田政一)』より)
芦屋・西宮 鍼灸 香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】
芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【はり灸専門】
芦屋市大原町の鍼灸院。JR芦屋駅より徒歩6分。東洋医学(鍼灸、漢方)で、首コリ、肩コリ、五十肩、腰痛、ぎっくり腰、膝痛、季節の不調、自律神経失調症、頭痛、耳鳴、めまい、鬱、不眠などに対応します。芦屋、西宮、東灘、灘区、神戸、宝塚などで鍼灸院をお探しの方へ。