『懸鐘(けんしょう)』【芦屋・西宮 鍼灸香春】

 【胆経。下腿外側。外果尖の上方3寸。腓骨の前方

 『懸鐘』は足首の外くるぶしから3寸=指4本分上がった所にあるツボで、「髄会(ズイエ)」という

別名があります。

 「髄」は脳髄や脊髄の事を指すので、半身不随などの中枢神経系の疾患に効果的ということを意味して

います。その昔、戦国武将・毛利元就が中風後遺症で運動神経麻痺に苦しんでいた時、名医・曲直瀬道三が

お灸を施して治療したという逸話があるんですが、その時のツボがこの『懸鐘』だといわれています。

 中風というのは脳梗塞などの脳血管疾患全般のことをいいますから、「髄」の治療ポイントである本穴は

うってつけというわけです。他に『百会』『曲鬢』『肩井』『風市』『足三里』『曲池も有効なツボで、

これらのツボを総称して「中風七穴」と呼んでいます。脳血管疾患専門のユニットを組んでいるわけです。

 脳溢血や脳梗塞の発作時は脳の血圧を下げることが後遺症を軽くするのによいので、手の「井穴」に刺絡

をしますが、後遺症の治療となれば七穴の方が用いられます。

 おそらく『懸鐘』は逆上せてしまった胆気を引き下げる作用が強いのだと思われます。その意味では頭痛

肩こり腰痛などにも転用することが可能です。

 ただ、酒を飲んで肝気が盛んとなって、肝のパートナーの胆の気がのぼせたような場合なら本穴は有効

ですが、陽明(消化器系)の熱が上衝して起こしたような肩こりや頭痛なら、あまり効果は望めません。

 漢方医学では、同じ頭痛であっても原因となる臓腑や経絡、冷えや熱といった要因の違いによって、施術

の方針、使うべきツボ、服用すべき漢方が異なるからです。

 ここを理解している鍼灸師を選ぶことが、よい鍼灸院を選ぶコツです。

 

 【当院での経験】

 正確には昔に大阪の鍼灸院に勤めていた時の話ですが、脳梗塞後遺症で麻痺が残っているという方、言語

障害がある方など、合計8名(麻痺4名、言語障害2名、両方2名)に対して本穴で施術をしていました。

 結論をいうと、麻痺よりも言語障害の方に改善傾向が高く、麻痺について効果が見られたのは6名中3名

でしたが、言語障害は4名中3名の方に効果がありました。この時は院長先生の施術や他のツボと併用して

いたので、必ずしも『懸鐘』が効いていたのかは不明ですが、鍼灸には様々な可能性があるのだと思える、

いい経験になったことを覚えています。

 

 【主治・効能】

・腹脹、胃熱、脛骨上端部や膝の攣痛、足不収、咳逆、喉痺、頚項強、二便渋、手足不随

感冒、急性鼻カタル、脳・脊髄疾患、心臓病、扁桃腺炎、吃逆、胃弱、神経衰弱、腹筋強脹、頚筋強直

 脚気、四肢の運動神経麻痺

・脳脊髄疾患。中風、半身不随、カリエス、頚肩腕症候群、肋間神経痛、腰痛坐骨神経痛、脚気

 リウマチ、小児麻痺、腹筋痙攣、胆石疝痛、眼充血、神経衰弱、ノイローゼ、湿気下し

・半身不随、下肢痛、踝の関節痛、寝違え

頚項の強張り、落沈、胸脇脹痛、熱が下がらない、咽喉腫痛、腹痛、腰痛、下肢腫痛・不随、脚気、肩こり

・頭の芯が痛むような、髄の病に用いる

 

(『鍼灸孔穴類聚(松元四郎平)』『経絡経穴の近代的研究(濱添圀弘)』

 『鍼灸臨床取穴図解(小野田正、池田久衛)』『鍼灸集錦(鄭魁山)』

 『経穴の使い方・鍼の刺し方(鍼灸素霊会)』)

芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【JR芦屋徒歩6分】

 

芦屋・西宮 鍼灸香春(こうしゅん)【はり灸専門】

芦屋市大原町の鍼灸院。JR芦屋駅より徒歩6分。東洋医学(鍼灸、漢方)で、首コリ、肩コリ、五十肩、腰痛、ぎっくり腰、膝痛、季節の不調、自律神経失調症、頭痛、耳鳴、めまい、鬱、不眠などに対応します。芦屋、西宮、東灘、灘区、神戸、宝塚などで鍼灸院をお探しの方へ。

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