麻子仁丸(マシニガン)

麻子仁丸

 

 

麻子仁(甘平)、芍薬(苦平)、大黄(苦寒)

厚朴(苦温)、枳実(苦寒)、杏仁(甘温)

 高齢者の便秘によく使われるのが本方『麻子仁丸』になります。

 同じく便秘に使われる防風通聖散は会社の重役タイプで、固太りしているような、体力が有り余って

いる方に用いますが、『麻子仁丸』は反対に体力がない方に適します。お腹も軟らかく、いうなれば軟弱です。

そのため高齢者向きの漢方薬だとされています。

 

 【麻子仁丸の病理】

 基本的な病理は、漢方医学で「陰虚証」と呼ばれる、水分(陰気)の不足によるものです。水が少ないために

内熱を生じて乾燥してしまい、便秘となっています。

 問題は、なぜ水分の不足(陰虚証)を招いてしまうのかですが、これには様々な発生機序があります。

ただ、本方が適応する場合は、消化器系の働きをコントロールし、水分や栄養の分配を管理する司令塔で

ある「脾」の機能が停滞していることが原因です。このような状態を「脾約(ヒヤク)」といい、本方の別名も

それにちなんで『脾約円』といいます。

 この「脾約」状態に陥ると消化器系にエネルギーが停滞してしまい、それが熱となって津液(水分)を

過剰に浪費するため、身体が水分不足の「枯燥」状態になります。消化器系に熱が充満すると食欲は亢進

しますが、同時に「枯燥」状態も促進してしまうため、便秘となります。

 

 【麻子仁丸の使い方】

 使用ポイントは内熱によって水分が乾いて発生している便秘に使います。

 胃熱があるため食欲はあります。加えて口が乾き、よく汗をかきます。また小便もよく出るので便秘

悪化しがちです。便秘自体は、どちらかというとコロコロ便(兎糞便)となっていることが多いとされます

が、便の状態にはあまりこだわらないのが一般的です。

 荒木性次先生の『新古方薬嚢』には、汗が出るために皮膚は湿る。汗が出ずに皮膚がカサカサとしている

場合は不適であるとされています。陰虚内熱状態がひどく、皮膚にまで影響が出ている場合は、水分供給に

優れた『潤腸湯』などが適すると思われます。

 また、本方に適する便秘は熱が原因ですが、同じような症状を呈する便秘でも冷えが原因となると、

『苓姜朮甘湯』が適応します。小便がよく出て便秘するのは同じですが、こちらは胃腸が弱く冷え症です。

 あと『麻子仁丸』は「血(ケツ)」を補う目的には適していないため、血虚が主体となるような便秘では

四物湯『調胃承気湯』を合わせるといった裏技の方がよいこともあります。老人性の便秘に対しては

こちらの方がよいことも多々あります。

 

 【適応疾患】

 便秘妊婦に対しては不適

 

(『漢方医学体系(龍野一雄)』『漢方常用処方解説(高山宏世)』

 『中医臨床のための方剤学(神戸中医学研究会)』『漢方主治症総覧(池田政一)』より)

 

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