防風通聖散(ボウフウツウショウサン)

防風通聖散

 

 

防風(甘温)・川芎(辛温)・当帰(甘温)・芍薬(苦平)・薄荷葉・麻黄(苦温)・連翹(苦平)

荊芥(苦微温)・山梔子(苦寒)・生姜(辛温)1.2、大黄(苦寒)・芒硝(苦寒)1.5

石膏(辛微寒)・黄芩(苦平)・桔梗(辛微温)・甘草(甘平)・白朮(苦温)2、滑石(甘寒)3

 ダイエットの漢方として有名になった感のある『防風通聖散』ですが、ダイエットに対して直接的な

効果があるわけではありません。“肥満”の人が“やや肥満”に落ち着く程度だと思って下さい。多少

代謝を上げる効果はありますが、老廃物をジャンジャン排泄したり、思い通りに体重を減らすという

までの効果はありません。詳しくは【こちら】をご覧ください。

 

 【防風通聖散の使い方】

 本方は確かに肥満の方に用いますが、一口に肥満といっても水太り型、過食型、婦人科疾患型などに

分類できます。当然それぞれのタイプと、特徴に合わせていくつもの漢方薬があり、不適切なものを

服用した場合、悪化はせずとも体調不良を誘発したりすることはあります。

 『防風通聖散』は過食型、それも内熱が非常に強く太鼓腹で臍周りが硬く張っているような方の

肥満にこそ用います。いわゆる実証型の方に使うのですが、これを虚証の水太り型肥満の方に用いると、

下痢が止まらず、体力を奪われて皮毛困憊するなどの悪作用が発生することが考えられます。

 あくまでも食欲旺盛便秘して小便が出にくく、顔はのぼせ赤ら顔、上部に熱が溜まりやすいため

肩こり、頭痛、耳鳴りを併発しやすく、湿疹皮膚病も現れやすいといった特徴を備える肥満に

用いられるべきです。

 

 【防風通聖散の病理】

 本方は【胃腸を中心として、身体中に熱が溜まって便秘している】というのがポイントになります。

 本質的には胃腸の熱のために食欲は亢進し、それによって腎の津液が消耗されます。津液が不足する

虚熱が発生しますが、その虚熱は肺経や陽明経に蓄積されるため、陽明経のライン上に湿疹を発症

したりします。また、肺経の熱肝鬱の熱のために肺や胆が機能失調を起こして熱発散が上手くできず、

更に内熱が加速しています。

 こうしてみると、胃腸を中心として、腎と少陰経、陽明経、肺経、肝など、身体の至る所に熱が籠って

いるという状態、というのが本方の特徴になります。

 単に内熱があるというだけなら大柴胡湯小柴胡湯などの柴胡剤、大承気湯』『小承気湯

に代表される承気湯類と区別がつかなくなってしまいます。

 

 例えば柴胡剤なら図にある「胸脇苦満」がありますし、小柴胡湯なら便秘はないことが多いです。

承気湯類は消化器系の熱がある点は同じですが、構成を見ても胃腸とその陽明経の熱に終始する漢方です。

 一方、本方は肝にも鬱熱が溜まり、腎と少陰経の虚熱もありと広範囲に内熱状態が広がっています。

 こうした差異を問診、脈診、腹診などをから得た情報を病理の俎上で分析して、あなたに最も適切な

治療法やツボ、漢方薬を決定してゆくのが本来の私たちの仕事ということです。

 

 【適応疾患】

 胃腸に熱があるため食欲が亢進しますので、その熱を排泄することで過食、肥満(特に中年太り)

効果があります。その際に胃液が消耗されますが、胃液は腎の津液ですので、津液が不足すると腎や膀胱の熱

となりますから、膀胱炎便秘、痔疾、糖尿病に有効です。発生した熱は上昇して肩こり、頭痛、耳鳴り

目の充血、高血圧などになります。また、悪化すると脳溢血や籠った熱によって鬱病などを誘発するため、

その治療としても使われます。

 虚熱が体表へ及ぶと、そこに皮膚病を現すこともあります。特に面部の湿疹アトピーとなりやすく、

多くは胃腸から連なる陽明経のライン上に発症します。口や鼻、眼の周囲が好発部位としてお見掛けします。

 

(『宋版傷寒論』『漢方医学体系(龍野一雄)』『金匱要略解説(金子幸夫)』『薬方愚解(木田一歩)

 『中医臨床のための方剤学(神戸中医学研究会)』『漢方主治症総覧(池田政一)』より)

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